2019 Fiscal Year Research-status Report
避難地・仮設住宅の立地選定が安全性と復興プロセスに与える影響に関する実証的研究
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19K04764
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Research Institution | Association of Urban Housing Sciences |
Principal Investigator |
三井 康壽 公益社団法人都市住宅学会(都市住宅研究センター), 都市住宅研究センター, 研究員 (60626654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 秀夫 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (60251633)
森岡 拓郎 政策研究大学院大学, 政策研究科, 講師 (80725507)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一時集合場所 / 広域避難場所 / 仮設住宅 / ネットワーク / 地価 / 負の外部性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、防災対策の根幹をなす避難場所についての国、自治体、研究者等のデータベース、文献、ウェブサイト等における基本的な配置状況とその設定の原理原則について、現状とその課題を明らかにすべく、主としてデータベース・文献調査および分析のための理論的検討を実施した。 具体的には、第一に全国の避難場所の指定状況を把握し、一時集合場所、広域避難所の配置状況、それらの相互の関係、ネットワーク性などについて、図面に即して考察を加えた。 第二に、一時集合場所は、延焼火災などの災害危険性の高い地区ほど多く設けられるはずだが、災害危険性が高いことによる地価低下について、一時集合場所が適切に整備された地域では、相殺されて、同一条件のそうでない地域よりも地価が高くなっている可能性がある。この点についてモデル構築するための理論的な検討を行った。 第三に、広域避難場所は広大な公園や学校が指定されていることが多いが、昨今は、治安や騒音の懸念から、これらがかえって嫌悪施設とみなされて住民に好まれないことも多く、やはり、避難場所としての価値上昇と一定の負の外部性に伴う地価低下とが相殺されて地下に反映されている可能性がある。このため、これらの双方の影響についての理論的検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、文献調査によって、避難地計画の実態を把握するとともに、特に一時集合場所と広域避難場所それぞれの価値増進要因、価値低下要因を総合して把握するための理論的検討を行ってきている。 現地調査を年度末に行う予定であったが、昨今のウィルス禍のため、出張や対面でのインタビューが事実上不可能となったため、計画の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、さらに、避難地に関する文献、データの収集を行うとともに、これらに関する理論的な分析を進展させる。併せて、一時避難場所と、広域避難場所の配置がどのような条件を満たす場合に、防災性が向上し、地域価値が向上することとなるのかについて、さらに精密な仮説を構築する。 これらを踏まえて、避難地整備に関する地価への反映を検証するための実証分析を行う。さらに、仮設住宅についての諸性能が被災者に対してもたらす効用についても分析を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度は、年度最終四半期に現地調査、インタビュー等を予定し、これらに関する支出を見込んでいたところ、ウィルス禍によって面談や移動を伴う研究が事実上困難となったため、年度内支出が困難となったものである。 2020年度も当面同様の事情が存在しているが、これが緩和、収束次第、予定していた調査研究等を再開し、本来予定していた2020年度分の研究に移行する予定である。
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