2021 Fiscal Year Research-status Report
復興まちづくりに災害遺構等を活かすためのジオパーク推進協議会のエリアマネジメント
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19K04766
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石川 宏之 静岡大学, 地域創造教育センター, 准教授 (50405726)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジオパーク / 運営組織 / 教育活動 / 観光活動 / 防災活動 / エリアマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
今日、地方都市では、人口減少による過疎化や少子高齢化、地場産業の衰退などで地域社会を維持することが困難な状態になっている。また、地震の他に洪水や土石流など大規模な自然災害が多発している。これらの地域問題を解決するために地質遺産を活かして持続可能な地域社会をつくるジオパーク活動が世界各地で展開されている。2021年度の研究では、日本のジオパークにおける運営組織の教育・観光・防災活動と地域との関係を捉え、公学民連携による運営組織のエリアマネジメントのあり方について明らかにした。調査対象は日本ジオパークネットワークに加盟している56地域で、2021年8月に郵送によるアンケート調査を行い、回答率は100%であった。 結論として、ジオパークの運営組織によるエリアマネジメントのあり方について以下の4つを提言した。①観光振興により交流人口を拡大するために運営組織は、既存の教育プログラムを教育旅行へ活かしながら観光協会と協力してエリア外の小中学校や旅行会社へ働きかけて修学旅行を誘致すること。また、個人旅行者が各ジオサイトを巡られるように交通事業者と協力して交通手段を充実させること。②地域住民へ地球科学教育や防災教育を普及させるために運営組織は、市町村の防災担当部局と連携して災害遺構や災害の語り部を活かした体験型の教育プログラムを開発すること。③地質遺産・自然遺産を保全するために運営組織は、大学や博物館と協力して調査研究を行い、事務局の専任職員がデータベースを作成してモニタリングを行うこと。④地域住民の郷土愛を醸成するために運営組織は、各構成会員の役割を明確化しつつ、教育活動や観光活動など各種部会の活動に参画できるボトムアップの仕組みを整えること。特にGGNとJGNは、準会員が管理計画の策定や地元団体と協力して活動を展開できるよう技術的に支援するべきと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、日本のジオパークにおける運営組織の教育・観光・防災活動と地域との関係を捉えた。そして、2022年9月に開催される日本建築学会大会(北海道)においてその研究成果を発表する予定である。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでのアンケート調査と収集した文献資料などにより知見を深めながら整理し、復興まちづくりにおいて災害遺構等を活かすためにジオパークの運営組織でエリアマネジメントを行う際の課題と大学や博物館の役割についてまとめていく。そして、国内における新型コロナウイルス感染症の動向を注視しながら、可能であれば伊豆大島ジオパークや阿蘇ユネスコ世界ジオパークなどで実地調査を検討する。また、第12回日本ジオパーク全国大会(白山手取川大会)などにも参加し、伊豆大島や阿蘇などの日本のジオパークについて情報を収集する。なお、コロナ禍で現地調査が難しい場合には、Zoomなどによる調査手法や調査内容を再検討する。最後に、これらの研究成果を日本建築学会や日本都市計画学会などの大会や学術雑誌で発表する。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染症拡大の対応として、実地調査(伊豆大島ジオパーク(東京都)や阿蘇ユネスコ世界ジオパーク(熊本県)など)からアンケート調査(国内56地域のジオパーク)へ調査方法を変更したことで旅費の支出が少なくなり、次年度使用額が生じた。 (使用計画)次年度は、これまでの研究成果を発表するために大会参加費や旅費を支出する。また、調査研究で使用する機器などの購入費用に充てることも検討する。
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