2020 Fiscal Year Research-status Report
Basic research on the established requirements of subleasing businesses for vacant houses in rural areas
Project/Area Number |
19K04771
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳田 光弘 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60363610)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 空き家活用 / 空き家所有者 / 空き家利用者 / 空き家活用団体 / アクションリサーチ / 回帰分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、空き家等の利活用が過酷な地方の地方において、空き家等利活用策の一つと目される転貸事業の実態と成立要件について、実地調査とアクションリサーチによる実証実験をもとに明らかにすることを目的としている。具体的には、空き家等転貸事業の成立用件を、1)空き家所有者、2)空き家利用者、それらを結ぶ3)中間組織(空き家活用団体)、の三者に辿り研究を進めている。 本年度は、主に3)に関して、前年度、長崎県五島市で各種専門家らが立ち上げた中間組織(空き家活用団体)を対象としたアクションリサーチによって、地方の流通化における当該中間組織の役割の導出を試みた。 実際には、対象とした中間組織に関する基本情報を整理するとともに、2019年9月設立から2020年12月までに中間組織が何らかの形で関与した空き家14件に関して、ヒアリング及び実地調査を行い、各空き家の状況、及び中間組織の対応状況を精緻に記録した。結果、内1件が中間組織における転貸事業が成立している一方で、他13件に関しては、中間組織が空き家所有者に対して空き家活用の事業計画を提案した段階で止まっている1件、空き家利用者の要請によってインスペクション(空き家状況調査)のみを実施した1件、以外の11件は、当該空き家の現地調査及び空き家所有者の相談応対のみにとどまっている厳しい現状が明らかとなった。 その要因として、空き家所有者側の意向が親族間でまとまっていない、空き家所有者側の意向と中間組織の助言に相違がある、空き家バンク制度や利用者などによるセルフリノベーションへの誘導助言で解決可能なため中間組織が関与する必要がない、中間組織が現時点で関与するには投資リスクが大きすぎる、があげられた。一方、当該中間組織は、空き家所有者及び利用者に対する専門的な総合窓口として、重要な役割を担っていることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実地調査を旨とする本研究において、コロナによる県外移動等の制限や調査対象地域や組織に対する配慮、コロナへの大学各種対応によるしわ寄せによって、やや研究に遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策について、コロナによる感染拡大防止に努めつつ、主にA)中間組織へのアクションリサーチの継続実施、B)他地域の中間組織への実態調査、C)これまでの研究成果の発表、を実施する。 A)に関しては、対象となる長崎県五島市の中間組織について、県や市と連携した取り組みが、さらに進められることが今後見込まれている。よって、これまでと同様に中間組織が関与した空き家物件の状況と中間組織の対応状況に関する記録調査に加えて、中間組織と行政組織を含めた他組織との連携の実態についても調査を進める。 B)に関しては、当該年度はコロナ情勢下において、断念せざるを得なかった調査研究項目である。現在、同県内でいくつかの中間組織が、コロナ等の影響により遅延しながら活動をはじめている状況である。それら組織は、そもそもの組織の成り立ちや組織の構成員、行政を含む関係団体との関係、空き家活用への関わり方や進め方などが異なる可能性が ある。したがって、それら各団体のその類似性と相違性について実態調査を実施する。 C)に関しては、当該年度はコロナ対応業務により、遅延せざるを得なかった項目である。したがって、初年度から蓄積されつつある研究成果について、随時、学術論文として発表していく。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、研究対象となった地域及び組織への調査、及び対象組織の活動が長期間に渡って滞り、当初本年度研究計画を予定していた実施内容を完遂することができなかったため。次年度、本年度未実施だった研究計画も含めて実施する。
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