2021 Fiscal Year Research-status Report
精神科病院の看護拠点のEBD(根拠に基づく設計)に関する実証的研究
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19K04774
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
厳 爽 宮城学院女子大学, 生活科学部, 教授 (60382678)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精神科医療の治療療養環境 / 看護拠点のあり方 / 看護行為 / 看護業務 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はCOVID-19感染拡大の影響により、精神科病院をフィールドとした実態調査は実施できなかった。これまでの海外調査で得られた結果をまとめ、病棟改修に対する看護スタッフのアンケート調査を実施した。その結果を以下に要約する。 ①看護の視点におけるフィンランドの精神科病棟の治療療養環境に関する研究 フィンランドの精神科病院は、建物への投資を最小限に抑え、インテリアによるしつらえで既存建物のポテンシャルを引き出し、温かみのある病棟環境を実現している。また、小規模な看護単位と精神疾患患者の特徴に精通する専門性の高い看護スタッフの存在によって、患者に寄り添う看護が実現されている。このような看護環境の整備が患者の早期退院、病床数の減少につながっている。日本の今後の精神科医療環境整備に大きな示唆を与えている。 ②病棟改修に対する看護スタッフのアンケート調査の結果 本調査により、開放的スタッフステーションには賛同する意見が多数見られた。一方で、看護スタッフが考える開放的は「見通しての良い」という意味であり、患者とのコミュニケーションの重要性への認識がまだ不十分であることが浮き彫りとなった。業務では、コミュニケーションが治療の一環として重視され、患者に背を向けないスタッフステーション内の椅子の配置といった具体的な意見も見られた。改修後の病棟の使い勝手に関しては、移転してから3ヶ月ほどで実施したアンケート調査であるため、記録や申し送りなどの業務の実施に対するマイナスな意見が見られた。一方で、コミュニケーションの取りやすさあ多くのスタッフに受け入れられた結果となった。業務に関するしつらえに課題は見られたが、治療療養環境として患者とのコミュニケーションのとりやすい空間が病棟環境改善につながることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度はCOVID-19感染拡大の影響により、精神科病院をフィールドとした実態調査が実施できなかったことが最大な理由として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
感染状況に応じて、病院との連携をとり、各方面の調整を行いながら、今年度(2022年度)は予定通りの調査を実施したい。
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Causes of Carryover |
COVID-19l感染拡大の影響により、予定していた研究計画が実施できなかったため、研究期間を1年間延長することにしました。研究期間の延長に伴い、研究費の残金を繰越しました。
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