2020 Fiscal Year Research-status Report
基盤地図情報を活用した地区レベルの都市空間要素の配置シミュレーション手法の構築
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19K04775
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
斎藤 千尋 明海大学, 不動産学部, 教授 (30235048)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 市街地シミュレーション / 予報図 / 予測図 / まちなみの予報 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、データを利用しての分析が困難だったため、2021年度に予定していた、建物の配置確率のわかりやすい表現方法を検討した。 既往の市街地モデルや都市提案を調査し、また広く受け入れられている将来予測の提示方法を参考に、市街地の将来像の従来の表現方法について考察した。その結果、従来の表現方法が、一つのケーススタディとして描かれていることに限界があると考えた。都市の提案の従来の表現方法は、提案者のコンセプトを前提に、将来の市街地の魅力的な部分を伝える役割を担っていた。しかし、これまでの市街地シミュレーションの蓄積を前提にすると、様々な仮定の数値により予想された将来像は、仮定に応じて描き分けられる可能性がある。例えば、国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口」では、中位、高位、低位と、仮定に応じて結果に幅を持たせた予測を示している。また台風の進路の予報では、70%の確率で台風の目が位置する予報円が描かれる。社会的に重要な予測が、仮定による幅、あるいは確率的な幅を持って提示されていることに注目した。 そこで、広く受け入れられた予測、予報の提示手法に倣い、市街地の将来像の提示方法として、数理的な市街地モデルを前提に、幅のある、複数の将来像を示すことが有効と考えた。具体的には、建物の高さ、建蔽率・隣棟間隔、道路側空地の平均的な状態にばらつきの幅を重ねた図と、ばらつきを反映した事例図を組み合わせる方法である。前者は平均値としての建物形状を実線で描き、70%程度の確率で生じ得る平均値からのズレを破線等で重ねて描くもので、箱ひげ図のような役割を果たす予報図である。後者は、高さ、壁面位置のばらつきをそれぞれ3段階設定し9タイプの将来像をばらつきなしに実線のみで描くもので、平均的な将来像に悲観的将来像、楽観的将来像が併記された、考慮すべきシナリオを伝える予報図である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍による、大学業務の増大が第一に挙げられる。遠隔授業、ハイブリッド授業のために授業資料を組み立て直すのに要した業務量が特に大きい。 またコロナ禍の影響により、親が介護サービスを受けにくくなったこと、外出しにくくなったことによる、介護に要する時間の増大も影響している。 その結果、エフォート率が3%に低下し、本研究課題で想定していたエフォート率10%を確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
6月末を目標としてに、AW3Dビルディング3D(3次元の建物形状データ)の発注を行う。 航空写真を利用しなければならない植栽の情報などの分析は、優先順位を下げる。 データの利用が容易な情報に絞って分析を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度中に、AW3Dビルディング3Dの購入ができなかったためである。またこれにともない、計算機クラスターの使用量も発生しなかった。
2021年度は前半期にはデータを購入し、9月より計算機クラスターを使用した分析作業を行う。
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