2020 Fiscal Year Research-status Report
授乳を中心とした乳児期の子育てを支援する環境構築に関する研究
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19K04778
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
仲 綾子 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (70747609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 博子 東京未来大学, こども心理学部, 准教授 (00601014)
谷口 新 大妻女子大学短期大学部, 家政科, 教授 (40445185)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 妊娠 / 出産 / 授乳 / 建築計画指針 / 子育て世代包括支援センター / 母子保健 / 子育て支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、妊娠中および産後1年未満に死亡した女性の死因で最も多いのは自殺であるという深刻な事態を背景とし、妊娠出産期から子育て期に渡る切れ目のない支援の構築を建築計画の視点から検討することを目的とする。今年度の研究実績は以下のとおりである。 母子保健法の改正により設置された子育て世代包括支援センターは、現在、全国の市区町村で急速に整備が進められているものの、その実態は明らかにされていない。そこで、子育て世代包括支援センターの建築計画を検討するため、実態把握調査に着手した。予備調査として対面にて2施設のインタビュー調査を行っていたが、コロナウイルス感染拡大防止に配慮して、調査方法を以下のように変更して研究を進めた。 まず、日本における子育て支援に関わる法的整備の実態を整理し、子育て世代包括支援センターの設立過程と取組内容の全体像を明らかにし、国際学会(Environmental Design Research Association)に投稿し、採用された【雑誌論文1】。 次に、厚生労働省が公表しているデータ(子育て世代包括支援センター実施箇所一覧、同実施状況調査、同事例集)にもとづき、整備状況及び具体的かつ詳細な取組内容等を分析した。さらに、子育て世代包括支援センターにて実際に利用者支援を行っている母子保健コーディネーターにオンラインにてインタビュー調査を行い、テキストマイニング分析を行い、利用者支援の実態を明らかにした。これらをとりまとめ、建築学会に投稿し、一編は口頭発表、一編は査読論文として採用された【学会発表1、雑誌論文2】。 さらに、子育て世代包括支援センターの今後の課題について分析し、国際学会(International Conference on Environmental Psychology)に投稿し、現在、査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である昨年度(2019)に、乳幼児期の子育て支援の中心的な役割を果たす授乳環境に関する研究をとりまとめた。研究2年目となる今年度(2020)は、妊娠出産期から子育て期にわたる切れ目のない支援を実現する場となる子育て世代包括支援センターの建築計画研究に着手した。 当初の予定では、2020年3月より、和光市はじめ各地の子育て世代包括支援センターにおいて、運営者のインタビュー調査、及び、利用者の行動観察調査を行うよう調査計画を立案していたが、コロナウイルス感染拡大の影響により調査は中止とした。 そこで、緊急事態宣言下でも実行可能な調査方法に変更し、政府の公開データを分析したり、オンラインにてインタビュー調査を行ったりすることによって、子育て世代包括支援センターの建築計画の検討を行った。コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛は、研究の遂行に少なからず影響を及ぼしたが、研究方法を工夫することにより、当初の研究目的は達成でき、成果として論文3本(2本採用、1本査読中)、学会発表1本を提出した。 コロナウイルス感染拡大により、孤育て(孤立した子育て)がより深刻な課題となり、子育て世代包括支援センターが果たす役割は、重要性を増している。今後は、この点にも着目して研究を進める必要があると認識している。加えて、研究を進めるなかで、不妊治療環境に関する課題が看過できないことも示された。この点についても、次年度以降に検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、全国の子育て世代包括支援センターを対象とした大規模なアンケート調査を行うために、現在、準備作業を進めている。予備調査として、先進事例である自治体へのインタビュー調査をオンラインにて完了している。また、全国の子育て世代包括支援センターのリスト化を進めている。アンケート調査は、郵送及びメールにて配布・回収する。これは、コロナウイルス感染拡大の状況によらず、概ね実施可能と見込んでいる。アンケート調査の完了後、代表的事例を複数抽出し、現地調査を行う予定である。これは、2020年度の感染拡大状況から判断し、また、ワクチン接種の普及を見込んで、夏以降に実施する予定である。併せて、課題として浮き彫りになってきた不妊治療環境の研究を進める。 以上より、2021年度の研究の推進方策として、以下の3つの軸を設定する。 ①子育て世代包括医療センター全国アンケート調査・分析(2021年4~7月)。 ②子育て世代包括医療センター現地調査・分析(2021年8~12月)。 ③不妊治療環境調査・分析(2022年1~3月)。
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Causes of Carryover |
理由 :2020年度はコロナウイルス感染拡大防止のため、現地調査を実施できず、次年度使用額として約484千円発生した。
使用計画:今後の研究の推進方策で述べたように、全国の子育て世代包括支援センターを対象とした大規模なアンケート調査を行う予定であり、これに関連して適切に使用する。
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Research Products
(3 results)