2020 Fiscal Year Research-status Report
Planning for Urban Transformation managing local activities and developments
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19K04782
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
小浦 久子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (30243174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 香織 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (20345078)
長濱 伸貴 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (70461134)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パブリックスペース / 土地利用 / 空間再編 / デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、年間を通じてコロナウィルスの世界的感染拡大のなかで、当初予定していたデトロイトでの縮退都市の計画と実際に関する海外調査を実施することはできなかった。また、本研究ではワークショップにより実践的観点からの情報交流を通じた調査を行うことで、情報化されにくいローカルな動きの把握と都市へのインパクトの可能性を探ることを考えていたが、そうした取り組みはオンライン環境で実施する準備が十分できず、2020年度での実施は困難であった。 こうしたなか、研究分担者それぞれがこれまで蓄積してきた調査事例の再検討および各自の日常活動圏における空間利用の変容事例の調査を行い、本研究の目的のひとつである「ローカルな変化とその積み重ねの時間をどのように計画が調整できるのか」についての考察を深めることを進めた。小浦は土地利用の観点から特定の計画的開発地と都市の関係および関西圏の都市の再編におけるローカルスケールのまとまりの考え方、伊藤は都市内の屋外空間や駐車場の活用などに関する調査から都市におけるパブリックスペースの有する社会的ポテンシャル、また、長濱はランドスケープのデザインアプローチについて調査検討し、それぞれの観点から、ローカルに発生している事象が都市空間の変化や都市構造の計画にどのようにつながっていくのかについて考察を進め、これから検討すべき計画課題を共有していくことを試みた。 コロナ禍は研究遂行にとって厳しい条件となったが、最もミクロな生活空間の変化が都市空間を変えていく可能性を潜在していることを顕在化させた。特にパブリックスペースや都市と農村(自然環境)との共生の再評価を進めるきっかけとなっている。こうした変化を積極的に研究に取り入れていくことについても今後検討課題としていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はコロナウイルスの世界的感染拡大により海外渡航が制限され、海外調査が全く実施できなかった。疎密化する都市が、都市のダイナミズムを維持しつつ持続可能性を高める計画手法をローカルの実践と広域の計画の相互性から探ることを目的としていることから、人口減少と空地化が先進的に進行した縮退都市のプランニングについて調査するため、縮退を経験したきたドイツ・ルール地域とデトロイト都市圏の計画実践の現地調査を予定していたが実施できなかった。また、これに変わる取り組みを検討することが遅れた。 一方1年目に獲得した研究グループとして弱かった計画におけるリージョンスケールの観点および空間の価値の指標の考え方を今年度の事例分析につなぐことができた。ローカルスケールの研究実績が多い研究代表者および研究分担者にとって、調査分析においてローカルと都市とのつながりから検討することができた。しかし、その展開において、海外調査に頼るところがあったこと、予定していた田園フリンジの調査が十分進展させることができなかったから、展開の方向を見定めることができなかった。研究目的は明快であるが、方法論が難しく、海外調査ができない状況では、調査の方法を再検討することが求められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
世界的なコロナ感染の状況から、来年度も海外調査を実施することができる環境がそれほど大きく変わることは期待できない。そのため、海外の現地調査による縮退都市のプランニングから研究課題にアプローチする方法に変わる手法を検討する必要があると考える。 まずルール地域の調査については、地域の研究者とこれまで長く連携してきた経緯があるので、オンラインによる研究会の開催を検討したい。リージョンスケールのマスタープランについて共有できているビジョンとマネジメントの考え方を前提として「ローカル-リージョン」の計画連携に関する議論をしていきたい。またデトロイトでの海外調査で縮退都市のダイナミズムと計画のあり方を検討する予定であったが、これに変えて国内調査を検討する。 生活空間の変化のダイナミズムを人の移動と土地利用の変化から見るという観点から都市と都市近郊田園の関係からの調査を検討する。中心性とネットワークの相対としての都市に広域スケールをおき、都市や田園における空地や居住の移動などのローカルの変化との関係で分析する観点からの調査対象を見極めていくことで、初期の研究目的を達成できるよう推進方策の再検討をしながら進める。これまで蓄積してきたローカルな動きから都市やリージョンとつながる視点を検証する方法を探る。
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Causes of Carryover |
世界的にコロナウィルス感染拡大が続くなか予定していた海外調査に関する費用が支出できなかった。また国内調査も移動の制約があり限定的であったことから、調査交通費の支出が予定よりかなり少なくなった。そうしたなかコロナ禍で可能な研究手法を模索しながら進めることで、これまでの調査資料の再分析や可能な調査を進めるために必要な機材や調査分析補助の費用などの支出はあったものの、コロナウイルス感染拡大による厳しい研究環境が続き、十分の研究活動支出ができなかった。こうした状況への対応について、分担研究者との調整検討が遅れ、結果的に次年度使用が生じた。来年度も、コロナウイルスの世界的感染状況が大きく改善されるとは期待できないことから、研究の進め方を再検討し、海外調査費を再検討することにより、初期の目的を到達できるよう研究計画を確定していく。
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Research Products
(10 results)