2021 Fiscal Year Research-status Report
Planning for Urban Transformation managing local activities and developments
Project/Area Number |
19K04782
|
Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
小浦 久子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (30243174)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 香織 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (20345078)
長濱 伸貴 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (70461134)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 空間再編 / パブリックスペース / 空間マネジメント / アーバニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度もコロナ禍で移動の制約がありフィールド調査が困難な状況が続いた。前年度研究報告において今後の検討方針として示したように、国内に事例地を求めて調査の進め方を再検討し、オンライン研究会を開催することにより、研究課題を進めた。 研究の目標であるローカル・スケールでの多様な都市空間再生の試みとアーバン・スケールの計画をつなぐ計画論を検討するために、国内事例地として佐賀市都心部の水系および空き地の使い方から地域再生を構想する動きに着目し、事例調査から、都市で発生している点の動きを面へ展開する状況を都市計画の枠組みでコントロールする手がかりを探った。具体的には、佐賀の都心部にある水路の新たな使い方により水路空間を再生するプログラム、空き地(点)の活用の連鎖から通り(線-面)の再生へとゆっくり展開する試みについて、オンライン研究会を実施した。そこから、1)現在の空間変化を都市の歴史的コンテクストの重層性において評価する可能性、2)地方都市の均質化をローカル・スケールでの動きでいかに回避し、都市レベルでのローカルを作りうるか、3)ローカル・スケールで発生している空間の使いこなしの試みにみられる野放しの活力を都市計画のフレームでマネジメントできるか、といった3つの論点が明らかになってきた。 1)と2)は日本の近代化を経て縮退に向かう都市に共通する地域再生課題であり、空間価値の再評価と市場性のなかで模索されている論点である。3)はタクティカル・アーバニズムと都市計画の関係を問う視点といえる。 佐賀の事例調査を通じて、こうした現在的課題を確認できたことから、縮退都市の先行事例の海外調査が難しい中、国内の事例を丁寧に読み解くことで、研究課題の遂行を図ることができるのではないかというところまで進むことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画では、海外の縮退都市における都市計画の実態と計画マネジメントに関する調査により、リージョン・スケールの計画論の検討を進める予定であったが、1年目に、研究協議会による論点検討と、環境の持続可能性からのリージョンスケールでの計画課題の動向を国際会議で検討するところで止まっていた。昨年度、国内事例による検討へと調査方針を変更することで、オンライン環境での情報収集と分析を進めた。佐賀を事例として、都市空間に変化をもたらすローカルな動きを都市の空間・土地利用における基本構造からどのように評価するかという論点について検討を進めることができたが、コロナで公的機関への対面調査が制限され、都市計画のフレームについての論点が十分調査できていない。 また、ローカルの変化と都市のかたちの相互関係を検証していくうえでは、変化の過程で創出されたローカルな空間の変化について、デザインレベルでの検証と計画マネジメントレベルでの具体的な調査が必要と考えており、こうしたところはオンライン研究会における情報収集では、十分進めることができなかった。佐賀を事例とするにしても、現地調査とヒアリング調査が欠かせないと考えるに至った。このため、研究の課題検証についての論点整理はできてきたが、実証的にまとめるところに至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間を3年間と想定していたが、世界的なコロナパンデミックにより、2年目、3年目が、海外調査はもとより国内においてもほとんどフィールド調査ができなかった。こうした状況から、オンライン研究会に切り替えたが、やはりフィールド調査は必要と考えるに至っている。 このため、コロナとの共存が検討される状況になりつつあることから、もう1年繰越、ローカルな動きによりタクティカルに生成されてきた具体的な空間デザインとマネジメントの評価をフィールド調査を実施することにより行うとともに、そうした動きが、アーバンスケールでの計画とどのような齟齬を起こしているのか、空間再生と都市の変化との関係における課題は何なのかを、ひとつの地域事例で丁寧に確認する作業を行いたい。そこから研究の目標であるところのローカルの変化と都市のかたちの相互性について汎用性のあるみかたを検討し、計画論につないでいくことを進めていく。 生活空間の改善ニーズにもとづき、また、新たな暮らし方の価値の表現としてローカルレベルでの空間の使い方の更新が起こっている。本研究で目標としているこうしたローカルの動きを都市につないでいく計画論は、都市計画制度が硬直化し、近々での法制度の更新が見込めない状況において重要な論点を提示できるものと考えている。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍が続く中で、海外・国内とも現地調査に制約があり、実施できなかった。状況が改善しないなかで、国内事例調査による研究課題の遂行へ方針を変更し、オンライン研究会を行ったところであるが、オンライン環境ではほとんど経費が発生しなかった。また、国内事例についても現地調査ができなかったことから旅費が執行できていない。現在、コロナとの共存への移行が議論され、調査環境が改善すると考えられるため、来年度に研究期間を延長し、研究課題の最終的なまとめを行いたい。 コロナとの共存方針への転換が期待できそうな状況にあることから、国内事例での現地調査をおこない、ローカルな変化の評価と地域での場所の変化のマネジメント実態についての検証を行う。また、オンライン環境での研究も継続すると考えられることから、研究者間の議論やワークショップをオンライン環境で効率よく行うために必要な機器など環境整備を早急に行い、最終年度としてのまとめに向けたい。そうした取り組みを小冊子のかたちにまとめるための費用も予定している。
|
Research Products
(8 results)