2019 Fiscal Year Research-status Report
Study and development of environmental design method for people with dementia based on the viewpoint of the parties in a society of coexistence
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19K04795
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 敏 東北工業大学, 建築学部, 教授 (90337197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 哲郎 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60731437) [Withdrawn]
矢吹 知之 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (80316330)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / 物理的環境 / 環境デザイン / 環境改善 / 当事者 / 文献調査 / 環境要素 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症に配慮した環境デザイン手法の分析と開発のために今後必要となる基礎情報の収集と、今後の調査研究のための手法やその具体の設定に焦点を当て、主に6つの取り組みを実施した。 (1)認知症当事者および専門医へのヒアリングを通して認知症にとって物理的な環境の要素が重要であることを確認した。(2)さらに、英国(スターリング大学)の認知症研究センター研究員へのヒアリングを通して、認知症のための環境づくりを多職種協働で取り組み、認知症ケアの重要な一要素としている取り組み実態とその重要性を確認した。(3)当事者の視点からの環境デザインの重要性に鑑み、発刊されている認知症当事者による著書(和書)を分析し、物理的な環境への言及や重要性について明らかにする文献調査も行った。その重要性は指摘されながらも、認知症当事者による書籍には、物理的環境についての言及が少ないことが明らかになった。重要性は認識されながらも物理的環境について特に意識をして捉え、言及することがないという実態が示されたとも言え、言い換えれば、その重要な要素を具体的に抽出していくことの重要性、研究の妥当性を確認した。(4)英国での視察調査では、認知症に配慮した環境づくりに取り組む研究センター等でのヒアリングを通して、ケアの一要素として物理的環境を意識している状況と背景を確認し、本研究の調査手法の妥当性を確認した。(5)認知症のための施設環境の改善手法を施設職員等と協議しながら、その重要性を共有し、環境改善の実践について取りかかった。(6)建て替えにより環境改善が図られる介護施設における転居前後での生活行動、空間利用の調査を実施した。認知症の利用者にとって環境の変化がもたらす意味や効果について調査を行った。 各方面からの調査により、環境づくり(デザイン)につながる要素の抽出と今後の調査計画と実施につながる知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は本格的調査研究に移すための、基礎資料の収集、調査研究手法の確認、具体的な調査の準備期間と位置づけた。予定通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、実際にアンケート調査のより認知症にとって必要な(適した)物理的な環境要素について調査することとしている。2019年度に当事者、専門医、介護職員等とのネットワークを確立したことで、容易に進められると考えている。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によっては、医療福祉施設に従事する職員等への調査実施、施設でのヒアリング調査などが困難となることも予測される。そのためにも、遠隔で実施可能な調査方法を前提としながら、また感染が落ち着いている時期に調査実施ができるよう、準備をすすめ、遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
分担研究者の海外調査分に充てていた分が業務の事情で実施できなかったことによる300,000円がある。この分については繰り越して、次年度以降で実施することとしている。その他、台風により海外調査の日程が変更になり、当初予定よりも支出が少なくなったこと、調査訪問施設が予定よりも少なかった理由で当該の未使用額が生じた。次年度での調査(アンケートおよび訪問ヒアリング)において使用する計画である。
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Research Products
(10 results)