2020 Fiscal Year Research-status Report
Study and development of environmental design method for people with dementia based on the viewpoint of the parties in a society of coexistence
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19K04795
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 敏 東北工業大学, 建築学部, 教授 (90337197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 哲郎 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60731437) [Withdrawn]
矢吹 知之 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (80316330)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / 物理的環境要素 / 介護者 / テキスト分析 / 用語抽出 / 環境づくり / 個別的対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、認知症のある人の介護や支援に直接あたる人や認知症の当事者にとって、物理的環境の重要性の認識度合いや、適切な、もしくは不適切と考える物理的環境要素をアンケートによって調査・分析した。また、アンケート(自由記述)から要素(単語)を抽出し、テキスト分析によって物理的環境に関わる要素の分析も行った。調査は認知症の介護や支援に直接関係している施設、組織(団体)等に依頼し、ウェブまたは郵送で回答を収集した。設問内容は、物理的環境の重要性の認識について、また色・模様、音、広さ、明るさなどの環境要素についての考えを選択および自由記述により求めるものである。調査により計785名からの回答を得た。回答者は介護職が306人、看護職の119人、施設長/副施設長が92人と続く。認知症のある当事者からも5名、直接介護/支援にあたる家族38名からも回答を得た。また施設種別では特別養護老人ホームでの従事者が257人と最も多く、次いで医療機関の146人、認知症高齢者グループホームが118人となった。 「認知症のある人にとって、物理的な環境の重要度の認識」については「とても重要」との回答が82.7%となった。各設問の自由記述回答の分析からは、抽象的ではあるが「馴染み」「自宅に近い」「住み慣れる」環境が認知症の人に「落ち着く」「安心」の状況を与えること、逆に「騒がしい」「殺風景」「暗い」「狭い」「うるさい」「閉鎖的」な不適切な環境が「不安」「混乱」「不穏」「興奮」をもたらすことなどが示された。 一方で個々人の認知症の状況や生活歴の違いによる配慮、考慮の重要性を指摘する回答も多かった。認知症の環境づくりにおいては「こうあるべき」という視点で環境整備を行うことには大きな危険性もあり、むしろ個々の状況からあるべき環境、相応しくない環境を探して対応していくことこそが重要であるという点も示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により直接施設を訪問しての調査が実施できなかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られている成果(2019年度の成果:書籍分析による物理的環境要素の抽出、および2020年度の成果:アンケートによる物理的環境要素の抽出)を踏まえて、認知症のある人のための環境づくりに資するガイドラインを整理していく。 それにあたり、それら成果の内容の確認を医療・介護に従事する専門家と共有し、その妥当性を確認していく。また認知症のある当事者へのインタビュー事例を重ねて、より当事者視点での環境づくりに資する成果とする。したがって今後は実際に施設等に訪問してのヒアリング調査、観察調査などを実施して行く予定である。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により実施が困難な場合にはオンラインでのヒアリングなども実施するが、十分な調査が実施できない場合には、研究期間の延長も視野に入れて対応することとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により予定していた訪問調査が実施できず、それに関わる旅費経費がほとんど使用できなかったため。
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Remarks |
雑誌 認知症ケア(日総研)「認知症のある人が穏やかに過ごせる住環境の整備」p17-26, 2001
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Research Products
(4 results)