2020 Fiscal Year Research-status Report
オープンシステム型保育/教育と特別支援との両立を実現する包摂型環境設計の研究
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19K04796
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
古賀 政好 東京電機大学, 未来科学部, 研究員 (20751225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 あすか 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (80434710)
倉斗 綾子 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (80381458)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オープンプラン / 小学校 / 保育施設 / 特別支援 / インクルーシブ / 自閉症 / 学習交流 / 複合化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新型コロナウイルス感染症を勘案しつつ,①先駆的にインクルーシブ教育を行う従来型小学校での実態調査,②小学校と特別支援学校との複合化調査を行った。また③オープンプラン型保育施設で特別支援を実施する事例調査分析に着手した。 ①令和元年度に続き,先駆的にインクルーシブ教育を行う小学校での児童の滞在や学習交流を記録する観察調査を行った。また新型コロナウイルス感染症に伴う小学校でのオンライン授業時の状況,小学校が再開してからの健常児と自閉症児の学習交流の段階的な再開の経緯などについてのヒアリング調査も行った。これらの調査分析は感染症流行時における健常児と自閉症児の学習交流の継続やその実態について明らかにする点に意義がある。 ②令和元年度の関東甲信越の特別支援学校の複合化調査を全国に展開し,全国的な小学校と特別支援学校との複合事例を調べた。また小学校と特別支援学校の複合事例に対して運営や交流の状況,複合による通学圏域の変化などについてヒアリングした。本調査分析は小学校と特別支援学校が複合することでのインクルーシブ教育の可能性や有効性を検討する点に意義がある。 ③小学校に続き,保育施設においてもオープンプランかつ特別支援の環境整備の配慮点を明らかにするために,建築雑誌に掲載されたオープンプラン型の保育施設の事例調査分析を行った。今後の計画として,保育施設の現地訪問を行い特別支援ニーズのある児童の受け入れや活動の実態を調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で令和2年度に延期した各自治体の教育委員会へのアンケート調査は中止となり,小学校や保育施設を訪問しての実態調査も十分に行えない状況であった。 しかし「研究実績の概要」で示した通り,①先駆的にインクルーシブ教育を行っている小学校に対しては継続して新型コロナウイルス感染症の状況も踏まえた実態調査を行い,②全国的な小学校と特別支援学校の複合事例の調査と,2事例への電話・オンラインによるヒアリング調査を実施できた。また③保育施設での特別支援を包摂する環境整備についての調査研究にも着手し始めた。 以上から着実に研究を遂行できており「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「研究実績の概要」に示した①~③の調査分析の推進を図る。 ①先駆的にインクルーシブ教育を行う従来型小学校での実態調査:観察調査での結果をもとに健常児と自閉症児の学習交流や環境整備ついての分析・考察を進める。また当該小学校を卒業した成人への小学校当時の記憶に残る学習場面や自閉症児との交流についてのインタビュー調査を行う予定で,当時のインクルーシブ教育環境をどう認識していたか,現在の社会生活への影響等も含めて小学校でのインクルーシブ環境の構築について検討する。 ②小学校と特別支援学校との複合化調査:全国的な小学校と特別支援学校の複合化についての分析・考察を進める。また小学校と複合する特別支援学校に対して,小学校との学習や交流の実態からインクルーシブ教育の展開を明らかにするための実態調査を行う。 ③オープンプラン型保育施設で特別支援を実施する事例調査:収集した各事例の文献調査から特別支援に関するキーワードを分析・考察する。また現地訪問での特別支援ニーズのある児童の受け入れや活動の実態を調査する。 また①の先駆的なインクルーシブ教育を行う小学校を運営する学校法人では同様の考えのもとで幼稚園も運営しており,先駆的なインクルーシブ保育を行う当該幼稚園の実態や環境整備についての調査分析も予定している。 なお令和3年度も令和2年度同様に新型コロナウイルス感染症の状況によって調査遅延や調査手法の変更を余儀なくされることが懸念される。個人情報保護に留意し可能な調査手法を柔軟に検討する。
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Causes of Carryover |
■次年度使用額が生じた理由 新型コロナウイルス感染症の影響で,令和元年度から令和2年度に延期したアンケート調査等が中止となり,それに係るアンケート作成費・人件費・郵送費等が使用できなかったため。また現地訪問での調査も延期となり,その旅費等の費用が使用できなかったため。 ■使用計画 令和3年度に持ち越した助成金はこれまでの調査結果の整理のため人件費や実態調査のための旅費・人件費等で使用し,令和3年度分として請求した助成金は当初の予定通り使用する。
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