2022 Fiscal Year Research-status Report
小中学校施設におけるアクティブ・ラーニングを支援する学習環境に関する研究
Project/Area Number |
19K04798
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
山口 勝己 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (30200611)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 小学校 / オープンスペース / オープン型教室 / 間仕切り / コロナ禍 / 小中一貫校施設 / 学年区分 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.札幌市立小学校におけるオープン型教室整備の変遷:オープン型教室(以下OP型教室)を整備している札幌市を対象に教育委員会及び小学校に調査を行い、OP型教室の整備状況及び間仕切りタイプの変遷の把握とその要因について考察を行った。主な結果を示す。①初期の可動建具やSLWタイプは操作性が悪いためフルオープンタイプへと変化したが、音や視線の問題が大きいために見直しをされ、簡単に開閉できる引き戸タイプへ変わった。②音を軽減できる引き戸タイプに変化したことによりOSがより有効に活用できるようになった。③近年OS幅が減少しており、OSの幅と教育活動の関係を明らかにし、適切なOSの幅を探ることは今後の研究課題である。 2.コロナ禍における小学校OP型教室の利用状況と有効性:OP型教室を有する2市6校を対象に、コロナ禍におけるOP型教室の利用状況と有効性について、2021年度にアンケート調査及びヒアリング調査を実施し、2022年度に集計分析を行った。主な結果を示す。①OSの使用頻度は、6校中5校でコロナ禍以前よりも減少傾向にあった。また、OSまで机を配置し児童間間隔を確保したり、給食配膳で活用する学校がみられた。②コロナ禍でのOSの利点として三密対策のしやすさ、問題点としてOSに机のある児童の黒板見えにくさや教室とOSの間に間仕切りがないことによる感染の懸念が指摘された。③コロナ禍ではフルオープンよりも引き戸タイプのOP型教室の方がより有効である。 3.小中一貫校における教室周りの空間構成の学年区分による違い:小中一貫教育校の教室及び教室に接するOSの空間構成の学年区分による違いについて、雑誌掲載事例を対象に分析を行った。その結果、教室とOSの境界については9年間変化がないものが最も多いが、次いで小学校段階が「オープン、引き戸」で中学校段階が「固定壁」が多いことが把握できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アクティブ・ラーニングを実践している小中学校を訪問し、授業などの教育活動について観察調査を行うとともに教員に対するヒアリング調査を行う予定にしていたが、コロナ禍のため十分に学校を訪問することができなかった。そのため、アクティブ・ラーニングを積極的に実施している事例が多いと言われている小中一貫校を対象に事例の平面図等を基に整理分析し、教室周りの空間について研究を行った。また、札幌市の学校については、見学とヒアリング調査は可能であったが、教員に対するアンケートや授業観察調査は実施できなかった。以上のように、2022年度もコロナの影響により本研究の目的に対応する調査を進めることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染がある程度収束し、調査が可能になっていると思われるため、一昨年度に予定していた調査を実施する。教室に連続したオープンスペースを有し、アクティブ・ラーニングを積極的に導入している小学校に対して、アクティブ・ラーニングを行う上での空間面・設備面の問題点や要望に関するアンケート調査を行い、アクティブ・ラーニングに対応した教室やオープンスペースの面積、形状、設備についての条件を把握するとともに、アクティブ・ラーニングを推進するための学校運営の工夫などについて検討する。
|
Causes of Carryover |
(理由)コロナ感染がやや収まってきたために学校調査のための出張が可能となった。しかし、それ以前の2年間にできなかった調査を1年で取り戻すことは難しく、調査旅費が残ってしまった。また、消耗品についても、昨年度までに購入したものを使用して賄えたために新たに購入する必要がなくなった。以上の理由により、次年度使用が生じた。 (使用計画) ①アクティブ・ラーニング実践校に対する調査:小学校において教室に連続したオープンスペースを有し、積極的にアクティブ・ラーニングを授業に導入している学校を選定し、授業観察調査、教員アンケート調査を行う。そのための旅費及び同行する調査協力者に対する謝金が必要となる。 ②教育学分野の関連資料の収集・分析:教育学分野におけるアクティブ・ラーニングに関する資料を収集し、概念を整理するとともに教育方法について分析し、学習環境に求められている条件を明らかにする。文献・資料収集のための費用が必要となる。
|