2023 Fiscal Year Annual Research Report
小中学校施設におけるアクティブ・ラーニングを支援する学習環境に関する研究
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19K04798
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
山口 勝己 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (30200611)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公立小学校 / オープンスペース / オープン型教室 / 間仕切り / 引き戸形式 / フルオープン / 標準設計図 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.札幌市立小学校における引き戸形式オープン型教室の整備・発展:札幌市立小学校では、2015年から教室とオープンスペースの境界がフルオープン形式から引き戸形式に変化しているが、同じ引き戸形式であっても進化・発展を遂げており、本稿ではその変遷を整理して考察している。引き戸形式の18校のうち12校を対象とし、市教委学校建築課へのヒアリング、図面収集、現地調査、管理職教員へのヒアリングを行った。主な結果を示す。①札幌市では標準設計図に基づいて設計を行っており、その改定によって掲示や収納スペースの不足を軽減している。標準設計図のOS幅に変更はないが、実際は徐々に狭くなっている。②最近整備の学校は、複数学年でOSを共有したりOSが狭かったりするため、OSの活用が必ずしも活発とはいえない。③音や視線の問題が軽減され、OSは授業や他の活動の幅を広げており、総じて引き戸形式は評価されている。④掲示・収納スペースの確保や鍵がかからないことによる防犯面の不安が課題である。⑤標準設計図通りのOS幅を維持するか、複数の多目的室を確保するかの選択は、今後の計画上の検討課題となる。 2.引き戸形式と可動はめ込み建具形式のOSをもつ札幌市立小学校に対する調査:引き戸形式と可動はめ込み建具形式の2種類のOP型教室をもつ札幌市立の2小学校を対象として、異なる間仕切り形式のOP型教室の利用状況と教員の評価をアンケート調査により把握し、比較分析することにより、引き戸形式OP型教室の効果をより明確にすることを目的としている。結果として、ほぼ同一のつくりのOP型教室であっても、普通教室間の多目的教室の有無などにより、OSの利用方法、間仕切りの開閉頻度が大きく異なる結果が得られた。引き戸を導入しても、活動に対応して適切に開閉しないとその効果が発揮されず、教員にも有効性が認識されないといえる。
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