2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on Long-Term Stock Management Evaluation and Renewal Method of Multi Composed School Building
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19K04802
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
池添 昌幸 福岡大学, 工学部, 准教授 (90304849)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公共施設マネジメント / 分棟型校舎 / 施設更新 / 校舎構成 / 学校複合化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、①分析対象地域での公共FMにおける学校施設の方針と更新方法の分析、②同対象における分棟型校舎の基本属性の把握、③学校複合化の先行事例の現地観察と簡易ヒアリング、以上の3つを実施した。 本研究の分析対象地域である福岡都市圏に位置する16の自治体における公共施設等総合管理計画および個別実施計画を対象に、学校施設のマネジメント方針と更新方法について動向を分析した。マネジメント方針については、①統廃合による再編方針を明示する自治体がみられるが長期的な検討で現状維持の方針が大半を占めていること、②更新時においてコミュニティ施設等と複合化し地域の拠点施設とする方針がみられること、以上の特徴を確認できた。 分析対象地域は福岡市の郊外部に位置しており、2000年代まで児童が増加する小学校が多い。公共施設等総合管理計画および航空写真により小学校校舎の構成を把握し、校舎構成タイプを分類した。1970年以前に最古校舎が建設された小学校では分棟型校舎となる傾向を明らかにした。 学校施設の複合化事例として志木市、市川市、世田谷区に立地する4つの先行事例を対象に複合化空間の実態を把握するとともに複合化による運営効果について簡易ヒアリングを行った。対象4事例は、増築棟の新設が3事例、既存棟の改修が1事例である。増築棟の新設事例では既存校舎との直接的な接続ではなく中庭等の共用空間を介した配置であり、複合化による相互利用効果は限定的であること、既存棟の改修事例では校舎内の複合用途の空間は適切に利用されているが、外部空間の改変と利用の点で課題があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、最初の研究課題である別棟増築拡張型小学校におけるRC造校舎の整備過程の実態把握について研究を実施した。具体的には、現存する学校施設における別棟増築拡張型小学校の割合と校舎構成の全体傾向、自治体の公共施設マネジメントにおける学校施設の方針と別棟増築型小学校への影響、以上の2つの調査分析を行い、次年度以降の分析対象事例を選出する上での基礎的データを得ることができた。当初計画では、校舎の建設年と平面構成は施設台帳を用いて把握する予定であったが、全ての自治体で資料が入手できなかったため、施設マネジメントに関する計画書と航空写真、学校の沿革等の公開情報をもとに分析した。 さらに、公共施設マネジメントに示された学校施設の方針を分析した結果、校舎更新時の複合化方針が複数の自治体で挙げられていた。そこで、校舎の整備目標および更新手法を提示するための予備的調査として、地域施設と複合化した先行事例を対象に複合化空間の実態と運営上の課題を分析した。この調査によって次年度以降の研究課題に対して残存校舎における室用途転用の必要性といった知見を得ることができた。 以上より、当初計画に対しおおむね順調に進展しており、次年度の分析対象の選定と分析のための基礎データの整理を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、RC造増築校舎の教室構成の変化を把握するため、施設台帳および工事図面を入手し室用途レベルの実態を分析するとともに、学校教員を対象に教室配置の意図と問題点についてヒアリング調査を実施する。これらの調査は当初計画と同様であるが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により現地ヒアリング調査の実施時期が遅れる可能性がある。ヒアリング調査の実施が困難な場合は書面によるアンケート調査に切り替えて実施する。 また、既に別棟増築拡張型小学校において最古校舎の更新の計画の立案もしくは実施を行っている事例が確認できた場合はその計画を検証する。この点は当初計画には含まれていないが、次年度以降の研究課題として新たに加えることとする。
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Causes of Carryover |
当初予定よりも旅費および謝金の経費が減額できたためソフトウェアの購入を行った。研究遂行に必要な物品を購入したが、交付額に対して少額の差額が生じたため、次年度使用が生じている。次年度使用額は、当該年度交付予定額に対して少額であるため使用計画は当初予定と大きな変更はないが、物品費に充当して使用する。
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Research Products
(1 results)