2020 Fiscal Year Research-status Report
地方祭礼における空間・社会的基盤の実態と変容―高知県・絵金芝居絵屏風を対象に―
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19K04803
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
北山 めぐみ 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (40734257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永原 順子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (30455224)
増井 正哉 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40190350)
本塚 智貴 明石工業高等専門学校, 建築学科, 助教 (40751152)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 祭礼 / 絵金 / 歌舞伎 / 高知 / 絵馬台 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コロナ感染症拡大の影響で神社祭礼が縮小されたことや、地域住民等との対面による調査が困難であったことから、現地調査及び聞き取り調査を行うことができなかった。そのため、これまで収集した文献の整理・分析や、高知県内在住の代表者が絵金に関連して行われた行事等へ参加し、観察調査等を行った。主に行った研究内容は、次の3点である。1点目は、全国の巡回展として行われた「奇才展」を訪問し、美術史における絵金の位置づけについて考察した。2点目は、芝居絵を用いた祭礼の発展過程を考察するための類例調査として「立版古」に関する資料と現地調査をまとめた。3点目は、今年度行われた、絵馬台の修復事業の観察・聞き取り調査を行った。 1点目は、「奇才展」を訪問し、既成の枠を打ち破り独自の画風を打ち立てた画家を「奇才」称して収集した作品群を観察した。幅広く取り上げられた国内の作品群における絵金の立ち位置を見ることができた。 2点目は、2020年9~10月にいの町紙の博物館にて行われた、地域の神社が所蔵する「立版古」の展示を観察するとともに、文献調査を行った。絵金の芝居絵が飾られた時代と同時期に、芝居絵屏風とは異なる形態で芝居を楽しむ手法が存在していたことを把握した。 2点目は、今年度、地元の工業高校によって老朽化した絵馬台を新たに作り直すプロジェクトが実施されたことから、観察及びヒアリング調査を行い、そのプロセスをまとめた。再生された絵馬台において継承された点や変更された点などを把握し、地域が絵馬台に求めるものと、工業高校による技術的な工夫がなされ、地域協働によって祭礼文化が継承される事例を見ることができた。 今後もコロナ感染症の影響が続くと考えられるが、工夫を行い調査を進めることとする。具体的には、ケーススタディ対象地を抽出し、空間構成の把握及びヒアリング調査から、祭礼の空間・社会的基盤について分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、コロナ感染症の影響で、絵金の芝居絵屏風の展示はすべての神社で取りやめとなり、神事のみを行うなどの規模の縮小がなされた。地域住民との接触による感染の不安を与えることも考えられることから、ヒアリング等の現地調査も控えることとし、今年度予定していた現地調査を延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もコロナ感染症の影響で祭礼の規模縮小が行われることが予想されるが、現在行われる祭礼の状況については、一昨年にすでに概ね記録ができているため、安全面に十分配慮しながら、これまでの祭礼形態の変遷と祭礼が行われる社会的基盤について現地調査を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ感染症の影響により県をまたぐ移動が困難であったため、現地調査や類例調査のための移動ができなかったため。次年度は、安全面に十分に配慮しながら、可能な範囲での現地調査を行っていくこととする。
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