2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K04818
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
永井 康雄 山形大学, 工学部, 教授 (30207972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 重康 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30232169)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近代日本 / 和風建築 / 雛形書 / 舶載パターンブック / コンクリート造寺院 / 久保田家 / 岩城家 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)近世雛形書の分析;江戸期の建具雛形や欄間雛形、絵様集に記載される内容と近代和風建築の細部意匠との比較を行った。 2)舶載パターンブックの分析;東京帝国大学工科大学造家学科の同窓会である木葉会が明治末期から大正初期にかけて発行した西洋建築参考図集について分析した。『西洋建築意匠集』(3回に分けて出版)、『世界建築歴史資料』、『西洋家具集』は、フランスやイギリスで出版された建築書の図版を転載していたこと、それらの選択には伊東忠太が大きく関与していたことなどを指摘した。 3)近代雛形書の分析;前出の木葉会では日本建築の参考図集も発行していた。『日本建築細部及文様図集』と『日本建築図集 上・下』である。これらの内容と明治43年に内務省から出版された『特別保護建造物及国宝帖』との比較を通して、木葉会が発行した図集は古社寺保存法制定調査時に作成された図面集が主体となっており、将来の日本建築の様式を考えるための参考書として、また日本建築史を通覧するためのものとして出版されたことを明らかにした。 4)遺構調査;地方で活躍した工匠の事例として、岩城家(富山県滑川市)の史料解読と市内の神社建築実地調査を行った。久保田家(香川県高松市)の史料を整理・目録作成を行い、同家が関与し現存する建物(興泉寺・琴平町)の実地調査を行った。また、近代建築の特徴の一つである鉄筋コンクリート造の地方寺院建築への普及過程について、函館市内に残る浄土真宗大谷派函館別院(大正4、設計伊藤平左衛門、施工伊藤組)、称名寺(昭和4)の実地調査を行い、山形市では長源寺本堂(大正13、設計峯田某、施工山岸組)の実測調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)近世雛形書の分析;江戸期の雛形書はほぼ把握し、近代の雛形書も調査中である。近代の事例として、旅館建築、寺院建築を調査中である。 2)舶載パターンブックの分析;本年度の研究成果として建築学会に投稿した。『明治・大正期木葉会発行の建築図集について その1:西洋建築』(2020年度大会(関東) 日本建築学会学術講演梗概集掲載予定) 3)近代雛形書の分析;本年度の研究成果として建築学会に投稿した。『明治・大正期木葉会発行の建築図集について その2:日本建築』(2020年度大会(関東) 日本建築学会学術講演梗概集掲載予定) 4)遺構調査;本年度の研究成果として建築学会に投稿した。『地方におけるコンクリート造寺院の普及に関する研究(その1)―山形市長源寺の構法について―』(日本建築学会東北支部研究報告集第83号掲載予定)、『地方におけるコンクリート造寺院の普及に関する研究(その2)―山形市長源寺本堂の装飾―』(日本建築学会東北支部研究報告集第83号掲載予定)
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き近世及び近代の雛形書類の収集・調査分析を進める。具体的には、堀江家史料(青森県)、鈴木家史料(千葉家、立川流)の整理と関連遺構の実地調査と分析を行う。また、建具雛形・欄間雛形・絵様集に記載される意匠と近代和風建築の細部意匠との比較を進めるとともに、西洋の意匠との関連性についても検討する。
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Research Products
(1 results)