2020 Fiscal Year Research-status Report
ポスト・バイヨン期のクメール建築の建築的特徴に関する研究
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19K04830
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
大林 潤 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (40372180)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クメール建築 / 西トップ遺跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、カンボジア・アンコール地域のクメール建築において、13~15世紀のアンコール王朝末期(ポスト・バイヨン期)の遺跡を整理し、それぞれを比較研究することにより、この時期のクメール建築の特徴をあきらかにすることを目的とする。 2020年度は、現地調査を2回程度行い、西トップ遺跡の東テラスの内部構造の実測調査や、周辺遺跡の実測調査、写真撮影などをおこなう予定だったが、新型コロナウイルス蔓延の影響で、カンボジアへの渡航ができず、上記の現地調査をおこなうことができなかった。 したがって、国内で入手可能な図面を整理し、デジタル化をおこない、CADソフトへ取り込む作業をおこなった。3月末段階で、22面の図面について作業が完了しており、それをもとに、クメール建築の平面形式の分析を進める予定である。現時点で分析は途中段階であるが、これまで既往研究で述べられている通り、10世紀ごろに建立されたレンガ造の建築物は、平面計上が正方形に近く、西トップ遺跡のように前面(東面)のみ張り出し部分が長く計画されているものは例がない。また、基壇の出隅部分の形状について、延石と地覆石との形状が異なる類例がいまだ確認できておらず、西トップ遺跡特有の形状である可能性がある。今後も類例の数をできるだけ増やしていき、西トップ遺跡の特徴を明らかとしていきたい。 なお、国内においても新型コロナウイルス蔓延の影響があり、資料の収集は予定通りに進んでいない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、カンボジアでの現地調査と資料収集を柱として計画されており、2020年度は新型コロナウイルス蔓延のためカンボジアへの渡航ができず、現地調査を一切行うことができなかった。また国内での資料収集についても、予定した時期に国内でも移動制限などが行われたため、十分な資料収集ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、カンボジア国内での現地調査を前提として計画している。したがって、海外渡航が可能になり次第、現地調査を行う予定である。カンボジアへの渡航が許可されない間は、日本国内での資料収集を行い、それを元に各遺跡の平面形状等の分析を進める。
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Causes of Carryover |
カンボジアへの現地調査として旅費を計上していたが、2020年度は渡航することができなかったため、次年度使用額として繰り越し、2021年度の渡航費用として使用する予定である。
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