2021 Fiscal Year Research-status Report
Comparison Study on Japanese and Chinese Carpentry Tools Aimed to Construct the Foundation of the History of Wooden Buildings' Technology in East Asia
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19K04831
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
李 暉 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, アソシエイトフェロー (30772751)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 造営技術 / 造営工具 / 復原 / 版築 / 文化財制度 / オリジナル / 木造建築 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国と日本の伝統的大工道具に関する比較研究を通して、東アジアの木造建築文化圏における古代建築造営の技術のさらなる解明を目指すものである。 第3年度となる本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止措置が継続しているため、中国と日本における現地調査を再度延期せざるを得ない状況が続いている。この状況のなか、中国の発掘調査報告を用いた研究を重点的に進めた。また、大工道具だけではなく、建築造営の全般に用いられたと考えられる工具の範疇へ視野を広げ、建築の基壇の造営およびその版築に用いられた工具に関する考古資料の整理作業を実施した。 その成果の一部として、中国古代宮殿基壇の版築にみられる搗き穴の発掘情報を分析し、当時の基壇造営に用いた搗き棒に関する復原研究をおこなった。2022年度日本建築学会大会にて報告予定である。 また、現在中国文化財の修理・復原・保護の背景となる、文化財制度におけるオリジナルに関する扱いについて、日本建築学会2021年度大会パネルディスカッション「建築におけるオリジナルの価値に関する[若手奨励]特別研究」において紙上報告した。 加えて、本研究で得た視点に基づき、第7回日本建築学会近畿支部建築史部会研究会において、東アジア木造建築文化圏における古代建築造営技術に関する研究成果の交流を試みた。中国建築史研究の最前線で活躍する天津大学のDing Yao 副教授に、中国の国家重点文物保護単位(日本の国宝に相当する)の1つである独楽寺から、主要建物をオンラインで案内いただきながら、中国遼代建築の特徴や造営背景・設計理念などに関して発表していただいた。日本・中国・韓国から、多くの研究者と大学生が参加し、学術交流をおこなうことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大防止措置の継続により、中国と日本における大工道具の現地調査が延期となった。しかしながら、発掘調査報告資料を用いた研究は、研究対象を建築造営の全般に用いた工具へ視野を広げることにつながり、今後の研究の展開を考える上で示唆に富んだものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の収束に応じて現地調査を実施する。 また、第2・3年度に実施した発掘調査報告資料の整理作業による研究成果をまとめ、発表する。
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Causes of Carryover |
中国と日本における現地調査を中止したため、調査費用を次年度に繰越しとなった。 現地調査およびシンポジウム開催の実施に使用する予定。
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[Book] 中国の建築装飾2021
Author(s)
楼慶西著、李暉・鈴木智大訳
Total Pages
263
Publisher
科学出版社東京発行、国書刊行会発売
ISBN
978-4-336-07234-4
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