2019 Fiscal Year Research-status Report
磁気粘性流体の粘度可変制御による衝撃吸収性能の最適化
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19K04846
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
渡辺 圭子 立命館大学, 理工学部, 教授 (80423599)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 磁気粘性流体 / 衝撃吸収体 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気粘性流体(MR流体)とは、直径数マイクロメートルの強磁性体粒子の表面を界面活性剤で被覆し、液体媒質中に分散させたコロイド溶液であり、使用する材料・液体の種類、その混合比、混合の順番といった作製条件により特性は変化する。よって、各条件を検討し、流動性、粒子の分散安定性に優れた最適な製法を確立した。また、初期粘度と磁場印加時の見かけ粘度の関係を調査するために、初期粘度の異なるMR流体を作製する方法も検討し、確立した。これにより、MR流体の特性を制御できるようになり、今後のパラメータスタディに有用な技術を獲得した。 衝撃吸収性能に対する液体の動粘度の影響を調査するため、密度はほぼ同じで、動粘度と音速が異なる透明液体3種(水、シリコーンオイル2種)に対して、高速物体加速装置による衝突貫入実験を実施した。衝撃吸収性能を評価する指標として、物体の貫入速度の減衰および衝突誘起圧力波の減衰に着目した。 まず、高速度カメラによる光学可視化を用いて、物体の貫入速度減衰および圧力波の伝播挙動を調査した。その結果、動粘度と音速が異なる液体による物体貫入速度の差異は観察されなかった。物体が高速で貫入したため、物体周りにキャビティが形成され、側面にはキャビティ内の空気による粘性抵抗のみが作用することが原因であり、物体の貫入速度減衰には液体の動粘度や音速は影響しないという結論を得た。 次に、複数の衝撃センサを液体中に設置することにより、伝播する衝突誘起圧力波の圧力減衰を調査した。その結果、センサ位置による圧力値の減衰は確認できた。また、液体による圧力値の差は確認できたが、動粘度との関係性はないことがわかった。そこで、物体前面が前方の液体を圧縮することから液体の圧縮率に着目すると、圧縮率の逆数と圧力値には関係性が確認され、圧縮率が圧力波の圧力値に影響を与えることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載していた2019年度の研究計画をほぼ遂行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気粘性流体は、磁場により内部の鉄粒子が鎖状構造を形成し、流動特性が変化する。この内部構造が圧力波伝播挙動に影響を与える可能性が高いため、内部構造の詳細観察および圧力波入射実験を行い、圧力波伝播特性の調査を優先して実施する。また、当初の予定通り、磁場印加方法の検討と合わせて、磁気粘性流体中への衝突貫入実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度末が使用期限の別予算があり、優先して使用したため次年度使用額が生じた。 2020年度は予定していた消耗品類を中心に購入する予定であるが、新たに実施予定の内部構造の観察にも使用したい。
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