2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of cryogenic conduction cooling conductor having a unique structure made by combination of heat pipe and very high purity aluminum
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19K04848
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 誠宏 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (10249899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 卓 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30578109)
村上 正秀 筑波大学, システム情報系(名誉教授), 名誉教授 (40111588)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 並列化ヒートパイプ / ハイブリッド構造 / 熱輸送 / ドライアウト / 臨界温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は前年に引き続きN2、Ar、Neなど臨界温度の異なる作動流体を封入した低温ヒートパイプの基本特性を測定し、以下の成果を得た。 ・異なる作動流体を個々に内蔵したヒートパイプの並列化により、その作動領域が拡張された。従来の高純度金属製伝導冷却導体の欠点であった50~300 Kの温度帯域での熱伝導性能に比べて並列化ヒートパイプは100倍程度改善されることを実証した。 ・ヒートパイプの限界熱は概ねこれまでのヒートパイプの計算式からの予測と傾向は一致していることを確認した。一方、ヒートパイプ内部の加熱前ウィック部全体が液相で満たされた状態を充てん率100%と定義すると、水では100%で最も低くなる熱抵抗がアルゴンや窒素では約85 %の時に最小になることが観測された。さらに有効温度の異なる作動流体のヒートパイプ(アルゴンと窒素)を並列の配置することによって、ヒートパイプとして作動する有効温度範囲が拡大できることを実証した。また、加熱側がヒートパイプ有効温度以上の状況でも、放熱側で部分的にヒートパイプのメカニズムが機能し、全体としての熱抵抗は通常の伝熱板(純銅板など)より低くなることが実測された。従来、ヒートパイプのドライアウト領域は熱伝導素子の性能領域外とされていたが、極低温ヒートパイプに限ってはヒートパイプのドライアウト領域においても優れた熱伝導特性を示し、且つ超伝導磁石等の予冷時間が短縮できることを示した。 ・これらの研究成果を基に異なる作動流体を内包したヒートパイプの並列化使用について特許出願した。 ・本研究の一部が研究協力者の学位(博士)論文として纏められ、その取得に貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理由: 並列化ヒートパイプの特性試験を実施した結果; ・従来はその使用が不可とされていたドライアウト領域においても熱伝導素子として利用が可能であることを実証したこと、 ・並列化ヒートパイプの特許申請が出願されたこと、 ・並列化ヒートパイプの研究を基にした博士課程の学位論文が提出されたこと、 の3項目の結果から本研究の研究計画が順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を集約する令和4年度の方針として以下の研究計画を策定中である。 ・出願された特許申請の審査請求と完了。 ・特許出願のため、投稿を中止していた査読付投稿論文の提出。 ・高温超伝導磁石等を模擬負荷とした並列化ヒートパイプ冷却の実証実験の準備。
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Causes of Carryover |
特許出願に注力した事、予算執行の効率化を図った事、予定していた国際会議への出席をキャンセルしたため、次年度繰越額に変更が生じた。
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Remarks |
国立大学法人 総合研究大学院大学学術情報リポジトリ 学位論文
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Research Products
(2 results)