2020 Fiscal Year Research-status Report
真空紫外光照射がポリイミドの接着強さに及ぼす表面改質効果の物理化学的要件の解明
Project/Area Number |
19K04851
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
石田 雄一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (20371114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 俊夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20344244)
川崎 翔大 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40825949)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 接着・接合 / ポリイミド / 表面改質 / 真空紫外光 |
Outline of Annual Research Achievements |
接着性が低いと予想されるポリイミド系耐熱 CFRP(CF/PI)への真空紫外光照射処理が熱可塑性ポリイミド(TPI)フィルム接着剤の接着強度に与える影響について、Double Cantilever Beam (DCB)試験と圧縮せん断強度試験による強度評価を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 (1) DCB試験の結果から、真空紫外光照射は接着剤の界面強度を向上させ、接着接合体の接着強度の向上に寄与することがわかった。DCB試験から算出された接着破壊じん性値で比較すると、熱可塑性ポリイミドフィルム接着剤はエポキシ系接着剤と比較して高い接着破壊じん性を示した。 (2)圧縮せん断試験では、真空紫外光照射での改質により、室温での圧縮せん断接着強度が約2倍以上(平均9.8 MPa→19.0 MPaおよび26.0 MPa)向上した。 真空紫外光照射前後のCF/PIおよびTPIフィルムについて、表面の化学構造変化を推定するため、XPSによる表面分析を行った。真空紫外光を照射することにより、CF/PIではアミド、カルボニル、水酸基の増加、TPIフィルムではアミド結合の増加がみられた。CF/PIに真空紫外光照射を施した際に生じる接着強度の変化は、イミド環の局所的な化学結合の切断(すなわちアミド結合の増加)と、雰囲気中に残存する酸素によるポリイミドの酸化によって生じたカルボニル基と水酸基の増加によってもたらされている可能性が示唆された。これらの反応によって生じた官能基は、接着剤であるTPIフィルムとの結合に寄与し、結果として高い接着強度が発現したものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被着体としてポリイミド複合材、接着剤として熱可塑性ポリイミドフィルムを用い、被着体に真空紫外光を照射することで接着強度が向上することを実証し、おおむね予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
被着体(ポリイミドCFRP)および接着剤(熱可塑性ポリイミドフィルム)ともに耐熱性高分子である特徴を活かす観点から、高温(200℃)でも真空紫外光照射の効果を発揮して高接着強度が得られるかどうかを調べる。
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Causes of Carryover |
熱可塑性ポリイミドフィルムの製作が予想より少し安くでき、少しではあるが余剰金が発生した。次年度使用額は物品費(消耗品費)として使用予定。
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