2021 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロモーフィックなアプローチが拓く極限探査における着陸航法技術の研究
Project/Area Number |
19K04854
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
福田 盛介 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (50332151)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニューロモーフィック / スパイキングニューラルネットワーク / 太陽系探査 / 月着陸 / 画像航法 / イベントカメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、有人探査が困難で無人機が本質的に活躍する「極限探査」の自在な実現のために、生物的な機能を再現あるいは模倣する「ニューロモーフィック(neuromorphic)」なセンサやプロセッサを探査機上の航法処理に導入し、高速応答性や低消費電力などの観点で従来技術とは不連続かつ革新的なメリットの獲得を目指したものである。脳神経のふるまいを模倣したニューロモーフィックプロセッサの動作が、非同期なイベントベースのニューラルネットワークとして実行されることに鑑み、深層学習に代表される人工的なニューラルネットワーク(ANN)を、ニューロモーフィックプロセッサで実行可能なスパイキングニューラルネットワーク(SNN)へと変換する手法や、再帰ユニットや疑似勾配といったアイデアを適用することにより、SNNにおいて直接的に学習を実施する手法を提案・開発した。これらの手法の有効性について、地形相対航法の重要な要素であるクレータ識別を例として、対象の輝度の変化を非同期的に出力可能な生物の視神経を模したニューロモーフィックセンサ(イベントカメラ)と組み合わせた検証を実施した。さらには、再帰ユニットに畳み込み構造を持つゲートを付加することにより、本質的には時間方向の情報処理に優れるSNNに対し、時空間領域での特徴抽出性能を向上させる手法を提案し、LiDARセンサのパルス情報を直接処理する宇宙機の着陸における障害物検知に適用した。これらの検証では、ANNをはじめとする従来手法との精度比較とともに、ネットワーク中のニューロンの発火回数から、ニューロモーフィックプロセッサで実行した際の動作が推算され、従来の計算機に比して極めて低い消費電力で、処理が実行可能であることを示した。
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Remarks |
受賞: 2021年日本神経回路学会優秀研究賞(狩谷和季,福田盛介)
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