2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K04863
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
安藤 孝弘 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (30425756)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 減揺装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、令和2年度に未実施であった分離タンク式円環型減揺タンクの減揺特性の確認、及び令和2年度に製作した2体の異なる形状のアクリルタンク模型による固有周期計測を実施し、設計に使用した粒子法の計算精度の確認を実施した。 (1) 分離タンク式円環型減揺タンクの減衰特性の把握 令和2年度に完成させた、タンク個数・タンク位置・タンク間距離を任意に変更可能な”分離タンク式円環型減揺タンク模型”の減揺特性を確認するため、減衰振動計測を実施した。減衰振動計測のパラメータとして、両舷の円環タンクの内部液体について、旋回流れの有・無、及び円環タンク水路への天板設置による液体の移動制限の有・無を設定し、当該タンク模型を簡易動揺装置に搭載し一定に傾斜させた状態から停止するまでの自由振動による減衰を比較した。結果として、両舷に設置した分離された円環タンクでは旋回流れによる減揺効果は相殺されてしまい、いずれの試験条件でも効果的な減衰は得られなかった。今後は両舷の円環タンクの接続によるU字管タイプと旋回流れを共存させるような設計を図ると共に、タンクの傾斜に応じて旋回流れの入/切を制御するなど、より効果的に減揺効果を機能させる技術について検証・確立を目指す。 (2) 各種タンク形状における減衰特性の把握 粒子法により、タンク内流体の固有周期が同程度となるように設計した2体のアクリル製減揺タンク模型(円筒タンク型及び矩形タンク型、何れもU字管タイプ)について、自由減衰試験により固有周期を計測した。結果として、両タンク模型内の流体の固有周期は設計通り同程度となることを確認したが、固有周期の実測値と設計値には差が生じたことから、粒子径の調整等により実測値に近い計算結果を得た。これにより、使用した粒子法コードが減揺タンクの有効な設計ツールとして使用可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度は、新型コロナ感染症の拡大並びにこれに起因する他の研究スケジュールの遅延等の影響を受け、本研究の実施についても大幅に遅れが生じた。また強制動揺試験に使用する予定であった試験装置の一部について不具合が生じ、制御装置や油圧配管等の保守整備等を実施したため、更に研究の実施が遅延した。これらにより、本研究全体の進捗としては、申請時の研究計画からおよそ1年程度遅れることとなったため、本研究は令和4年度までの延長申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、第1四半期中に、2体のU字菅タイプのアクリル製減揺タンク模型を用いた強制動揺試験(ベンチテスト)を実施し、減揺モーメントを求め、この試験結果を検証データとして粒子法を主とする数値シミュレーションの計算精度を向上を図る。当初実施予定であった減揺特性の縮尺影響の確認のための模型実験については、数値シミュレーションに置き換えて実施する。また、これまでに有意な試験結果が得られていない分離タンク式円環型減揺タンクについては、動揺に合わせた旋回流れの入/切制御の導入や、U字菅タイプの円筒タンクに旋回流れによる減揺機能を付加する等の検討及び検証試験を実施し、得られた結果をまとめ特許出願を図る。
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Causes of Carryover |
研究全体の進捗が遅れていることから、これに伴い残額が生じた。予定していた人件費についても、研究計画に記載の強制動揺試験が予定通りに実施出来ず、試験作業の補助業務が発生しなかったことから未使用となった。繰り越した基金については、上記試験の実施のための人件費、並びに必要な機材等を購入するほか、既存タンク模型への機能追加や、場合によっては新規タンク模型の製作も視野にいれて研究を進める。加えて、一部の強制動揺試験に代えて実施する数値シミュレーション環境の増強を目的として、これに特化した計算機器類の購入に充てる。
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