2019 Fiscal Year Research-status Report
NH3分解ガスによる過濃燃焼ガス噴流トーチを用いたNH3予混合燃焼に関する研究
Project/Area Number |
19K04866
|
Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
市川 泰久 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (20586680)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 副室燃焼 / 燃焼試験装置 / アンモニア |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、カーボンフリー燃料であるNH3が注目されている。NH3は、点火が難しく燃焼速度が遅いため、内燃機関の燃焼不安定化や未燃NH3排出が課題となる。本研究では、内燃機関におけるNH3の点火性および燃焼速度を向上し、NH3のみで運転可能な副室点火式のNH3予混合燃焼機関システムを提案する。本システムは、副室内でNH3分解ガス(NH3を分解し生成したH2/N2/NH3混合気)を過濃な条件で燃焼させ主室へ噴射することにより、主室内のNH3/空気予混合気の燃焼安定化および未燃NH3の排出を抑制することを特徴とする。本研究課題では、主室内燃焼を模擬した燃焼試験装置を製作し、NH3分解ガスを燃料とした過濃燃焼ガス噴流が形成するトーチ火炎を用いて主室側にNH3/空気予混合気火炎を形成する。その燃焼特性を光学計測等により解析することで、本システムの実用化に向けた、学術的なNH3基礎燃焼技術を確立する。 初年度はNH3分解ガスを副室燃料とするトーチ火炎の燃焼特性を評価するための燃焼試験装置の計画・設計を実施した。実験装置は、空気加熱装置、水素・アンモニア供給装置、副室模擬燃焼装置、主室模擬燃焼装置からなる。燃焼時の主室内混合気は、ピストンによる断熱圧縮によって500~600℃程度の高温となる。この雰囲気を模擬するために、空気を600℃程度まで昇温できる空気加熱器を設計し製作した。副室側はH2/空気の混合気、主室側/NH3と空気の混合気をそれぞれ供給できる燃料供給装置を計画・設計した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度はNH3分解ガスを副室燃料とするトーチ火炎の燃焼特性を計測する燃焼試験装置の計画・設計を実施した。本トーチ火炎は、未燃のH2、NH3、活性化学種を豊富に含む高温の過濃燃焼ガスを微小噴孔から噴出し、これが高温周囲気体と反応することで形成される高速噴流拡散火炎である。本装置は、この燃焼ガス噴流を模擬する試験装置である。実験では燃焼ガス噴流の温度低下や失活による消炎機構を実験的に明らかにすると共に、トーチ火炎の火炎形状、大きさ、広がり角度、温度分布、ラジカル発光分布等を計測し、噴流中の未燃燃料成分が周囲流と混合しながら燃焼するトーチ火炎の燃焼特性を調査することを目的とする。また、本機関システムの実用化において重要となる機関燃焼特性等(可燃範囲、燃焼負荷率、燃焼完了度、NOx排出)に関する検討も実施する。これらの実験を実施するために計画・設計した実験装置は、空気加熱装置、水素・アンモニア供給装置、副室模擬燃焼装置、主室模擬燃焼装置からなる。燃焼時の主室内混合気は、ピストンによる断熱圧縮によって500~600℃程度の高温となる。この雰囲気を模擬するために、空気を600℃程度まで昇温できる空気加熱器を設計し製作した。副室側はH2/空気の混合気、主室側はNH3/空気の混合気をそれぞれ供給できる燃料供給装置を計画・設計した。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に計画・設計した装置を制作・組立を行い、各装置の動作および性能確認を実施した後に実験を開始する。 次に、トーチ火炎の燃焼特性を計測するシステムを構築する。トーチ火炎の火炎形状、大きさ、広がり角度などは、高速カメラによる直接撮影とナノフラッシュランプを光源としたシュリーレン撮影によって計測する。火炎内の反応過程を評価する際に有益な情報がえられるラジカル発光に関しては、分光器によって計測する。燃焼効率やNOx排出特性は高速フーリエ変換赤外分光(FTIR)ガス分析器によって計測する。 なお、本研究遂行において、毒性を有するNH3の取り扱いに課題がある。そこで、NH3検知警報機器や換気装置、未燃アンモニアの処理装置、防毒マスクなどを備えることで安全に実験が行うことのできように準備をする予定である。
|
Causes of Carryover |
初年度は装置の計画と設計に時間を要したた。2年度目に物品購入などを進める予定である。
|