2021 Fiscal Year Research-status Report
防食塗膜の影響を考慮した鋼/CFRP異種材構造接着継手の設計強度評価手法の構築
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19K04873
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
岩田 知明 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所, 構造・産業システム系長 (50358397)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 構造用接着剤 / 防食塗膜 / 異種材接合 / 造船 / ミリオーダー接着層厚 / 引張せん断強度 / CFRP / 鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、防食塗膜の防食評価に用いられるJIS K5600-7-2:1999「塗料一般試験方法-第7部:塗膜の長期耐久性-第2節:耐湿性(連続結露法)」の50℃95%RHを吸水温度条件として吸水後乾燥回復試験を実施したところ、この規格では暴露時間は規定されておらず、連続暴露では通常の環境に比べ劣化が促進され、内航船では生じない高温高湿条件となり、被着体が発錆に至った。よって、研究代表者らが過去に実施した実船での耐久性試験により得られた温湿度履歴を鑑み、今年度は、50℃80%RH、50℃90%RH、65℃90%RHの温湿度条件で再評価を行った。90日劣化後の強度保持率は、それぞれ73%, 58%, 42%で、いずれの被着体も発錆には至ったものの、50℃80%RHの場合はわずかで、その後の23℃50%RH条件下での乾燥によって50℃80%RHの場合は強度回復が生じ、90日乾燥後の強度保持率は、それぞれ88%, 55%, 39%であった。50℃90%RHと65℃90%RHの場合も、より湿度条件の厳しい50℃95%RHでは乾燥中も強度保持率が低下したのとは異なり、強度回復は生じなかったものの、乾燥中の強度保持率は概ね一定であった。一方、90日劣化後の変動係数は、それぞれ0.080, 0.045, 0.090、その後90日乾燥後の変動係数は、それぞれ0.16, 0.12, 0.24で、発錆に至っても変動係数(標準偏差/平均強度)は小さく信頼性は十分である。 耐候性試験はJIS-K-7350-2:2008「プラスチック-実験室光源による暴露試験方法-第2部:キセノンアークランプ」を参照して実施した。2,000時間劣化後の強度保持率は86%で1,000時間劣化後の95%から10%ほど低下した。2,000時間劣化後の変動係数は0.16で、変動係数は小さく信頼性は十分である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度当初に計画していた新たな二条件の異なる吸水温湿度条件での吸水後乾燥回復試験に加えて、劣化後の強度の推定精度を高めるため、環境劣化促進試験における温湿度条件の種類を増やして実施範囲を当初計画より充実させ、更に異なる条件での追加試験を実施した。このため、接着部の環境劣化に関する得られたデータの評価がやや遅れている。 また、Web会議による国際会議での講演を予定していたが、参加を予定していた接着分野の国際会議の開催期日が未定で、その他の欧米の関連する学会は、いずれも現地開催のみでWeb会議が併催されなかったため、社会情勢を考慮して参加を見送った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、劣化因子毎に強度保持率・ばらつき係数・変動係数・許容不良率・安全率の裕度を定量的に明らかにし、統計評価により長期信頼性を数値化し、各劣化係数が組み合わされた設計許容強度と防食塗膜要件の関係を明らかにする。国内船舶海洋工学会講演会や構造接着国際会議などにて研究発表を行う。
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Causes of Carryover |
Web会議による国際会議での講演を予定していたが、参加を予定していた接着分野の国際会議の開催期日が未定で、その他の欧米の関連する学会は、いずれも現地開催のみでWeb会議が併催されなかったため、社会情勢を考慮して参加を見送った。 今年度もWeb会議による国際会議での講演を予定しているが、研究代表者の有する技術経費などを活用した現地開催のみの国際会議での成果発表や、英文での投稿、国内会議での講演などについても検討する。
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