2019 Fiscal Year Research-status Report
バラスト状態にも適用できる任意性を排除した形状影響係数の決定法の確立
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19K04877
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
岡畑 豪 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 講師 (80546169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪下 和樹 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (20546163)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 形状影響係数 / 抵抗試験 / バラスト状態 / スパースモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,抵抗試験結果から形状影響係数Kを決定する方法の確立を目指す.初年度は,模型試験で得た全抵抗係数に対してKを未知数に含む近似関数を作成し,それをフィッティングすることによってKを決定する方法を構築した. まず,傾きがKの関数で表される原点を通る直線とべき級数の和で表される近似関数を作成した.粘性抵抗を表す直線部分は,平板の摩擦抵抗係数の式を変形することによって求めた.なお平板の摩擦抵抗係数の式に関して,海外で多く用いられているITTC57年の式やHughesの式の形をしたものと,日本で良く用いられているカルマン・シェーンヘルの式に対応している.近似関数のべき級数部は造波抵抗の影響を表す.満載状態だけでなくバラスト状態でも適用できるよう近似関数の自由度を大きくするため,べき級数の項数を多くとった. 次に,フィッティングを行う数値解析プログラムを作成した.このとき,近似関数の未知係数が条件数(実験データ数)よりも多いため,スパース性を仮定してスパースモデリングを行った.具体的には,L1正則化による定式化を行い,反復縮小しきい値アルゴリズムを用いて最適化問題を解いた.この方法ではL1正則化によって凸最適化問題に定式化するため,得られた最適解は大域的最適解と一致する. 次に,公開されているSRの抵抗試験結果に本手法を適用した.その結果,s-スパース近似によるL0最適化問題として定式化した場合に必要であった「仮想データ」が,本手法では必要無いことがわかった.さらに,SRの報告書に示されている形状影響係数Kとほぼ同等のKを推定できることがわかった.ただし,低速域での計測データの取り扱いにおいて任意性が残った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,近位関数の作成,問題の定式化および計算アルゴリズムの実装を一通り終えることができた.問題の定式化の際にスパースモデリングを行うことによって,計測データ数に関わらず近似関数の自由度を大きくすることが可能となった.これによって,満載状態だけでなくバラスト状態に対する抵抗試験結果にも適用できるようになった.また,造波抵抗理論に基づいていない近似関数を作成することによって,近似関数が理論的に成立する速度域のデータを抽出する必要が無いため,データの取捨選択をする必要が無くなり,任意性を排除することができるようになった.しかし,公開されているデータを用いて評価した結果,多くの場合は公開されている形状影響係数と本手法で決定した形状影響係数が一致するが,低速域の計測データを除く必要がある例が存在することがわかった.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,今年度構築した決定手法の問題点を改良する.低速域データに対する任意性を排除するための指標を開発し,決定手法の完成を目指す.それと並行して,回流水槽で検証用データを取得するための準備を行う.試験の再現性と計測の高精度化を実現するため,最適な回流水槽の設定パラメータ値と試験手順を実験的に調べる.次年度中には最適な試験手順および試験条件を明らかにし,最終年度の初めには検証用データを取得できるよう目指す.
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Causes of Carryover |
実験装置の不具合のため,今年度実施予定であった抵抗試験を次年度に変更した.この変更に伴って,当初予定していた模型船の購入を次年度に変更したため次年度使用額が生じた.次年度使用額を来年度に模型船の購入に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)