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2023 Fiscal Year Research-status Report

フレキシブルな大規模救急車シミュレータの開発と政策応用のための数値実験

Research Project

Project/Area Number 19K04882
Research InstitutionAkita Prefectural University

Principal Investigator

稲川 敬介  秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (50410759)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2025-03-31
Keywords救急車 / シミュレーション / 最適配置 / 都市計画・建築計画 / 政策研究 / 救命 / モデル化 / オペレーションズ・リサーチ
Outline of Annual Research Achievements

研究計画五年度目におこなった主な研究内容は,これまで取り組んできた2点の研究内容についてまとめ,論文として発表したことである.これらに関する具体的な取り組みと活動を以下にまとめる.
1.研究計画四年度目までにおこなった人口減少地域における施設計画についての研究をまとめ,論文(アクセシビリティによる施設削減計画の影響分析について,日本経営数学会誌,査読あり)として発表した.この研究は,施設と住民の近さ(アクセシビリティ)に着目して,施設の削減という政策に対して数値実験をおこなったものである.最適な配置の結果だけに着目するのではなく,削減計画の途中の状態の評価についても,十分な配慮を定式化に組み込むことにより,住民への影響を減少させることができる.本研究では,数値実験により,この事実を具体的な指標の数値として求めたものである.また,これら内容を具体的に応用するため,ある自治体と新たに秘密保持契約の締結をおこなった.
2.本研究課題の遂行中に人口減少が問題となり,人口推計などの研究をおこなう過程で発生した共同研究について,論文(認知度の低い自然・文化観光資源の利用促進における個人の嗜好を考慮した行き先推薦システムの提案,日本経営数学会誌,査読あり)としてまとめて発表した.本研究は,人口減少を含めたさまざまな要因により,利用者が極めて少ない施設についての研究である.近年,オーバーツーリズムによる施設や観光地の過剰利用の問題をよく耳にするが,その陰で,過少利用により荒廃が進む施設も数多く存在する.これらの過少利用施設は,適切に扱うことができれば,過剰利用施設の問題を緩和し,かつ,地域の資源として活用することができる.本研究では,これらの問題点と問題構造を指摘した後,解決策の一例として,個人の嗜好を考慮した行き先推薦システムを提案している.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

研究計画五年度目のおおまかな研究計画は,研究内容をまとめ,論文として報告することであった.しかしながら,研究計画当初からCOVID-19ウィルスの感染症対策による中断,想定していたシミュレータ開発環境が異なる状況になったこと,研究計画三年度目に将来人口の推計を優先させることにしたことなどにより,遅れが生じている.
シミュレータの開発については,これまでと異なる開発環境になったことから,新たな開発環境による再構築が必要となった.この点やCOVID-19ウィルスの感染症対策などを理由として中断していたところ,シミュレーション実験などの研究成果は自治体の将来設計に大きく依存するため,先に,将来人口推計などによる将来需要の推計が必要であるとの考えに至った.これは,ある程度わかっていたことではあるが,具体的な実現が難しい内容であるので,研究当初はシミュレータの構築のみおこなう予定であった.しかしながら,研究計画の途中で,共同研究などの新たな可能性が生まれたことから,将来人口と施設配置の内容を優先した.その結果,人口減少地域における施設計画についての論文と,過少利用施設についての共同研究について論文という2本の論文を発表することができた.この点は,研究計画5年度目に研究内容を論文として報告するという当初の計画に合致している.よって,本研究課題によって論文を報告することはできたが,当初の目的である大規模救急車シミュレータの開発が送れたままであるので,研究全体における現在までの進捗状況は,(4)遅れていると評価する.この点については,研究計画を1年延長して,次年度を最終年度とすることで対応する.

Strategy for Future Research Activity

研究計画最終年度は,研究成果を具体的に社会に還元するため,はじめに,秘密保持契約を締結した消防局から提供していただく救急データの分析をおこなう.救急データの分析は,通常,ある程度の時間が必要となるが,これまでの経験を活用して,本研究課題で取り扱うシミュレーション実験と最適配置のデータ作成に重心を置き,スピード感を持っておこなうものとする.
データ分析の後はシミュレータの開発を再開し,分析した救急データを参照しながら調整をおこなう.シミュレータの開発は,一時中断していたものの,前年度までに基礎部分はできているので,開発環境の移行をおこない,年度内での完成を目指す.そして,完成したシミュレータにデータ分析をおこなったデータを適用し,シミュレーション実験をおこなう.このシミュレーション実験では,救急車の現状配備と将来の最適配置との比較など,政策に沿った実験をおこない,考察をおこなう.考察結果をまとめて,現場の消防局員と議論し,研究成果を社会に還元する.また,消防局の許可を得たのち,これら一連の研究成果について,学会等で口頭発表により公表する.また,公表可能な部分について文書としてまとめ,論文投稿についても可能な限り努力する.
さらに,上記の内容に加え,本研究期間中のいくつかの派生研究についても,研究成果をまとめて公表する.特に,研究計画四年度目から開始した本研究課題とも関連の深い共同研究については,同時に研究を進め,並行して研究を進める.

Causes of Carryover

研究計画五年度目は,COVID-19が5類感染症となり,再開された学会等も多かった.しかしながら,自身や家族もCOVID-19に罹患するなど,依然として特殊な社会情勢下にあり,他業務が研究時間を圧迫していたため,順調な研究の遂行が難しかった.また,開発環境など,さまざまな周囲の変化により,当初想定していた計画通りに進めることができなかった.
さらに,これらの事情を考慮して,研究内容をより精緻にするための補助的な研究をおこない,派生研究として研究論文にまとめる作業をおこなった.これらを優先したことにより,本来の研究自体が遅れることとなったため,次年度の使用額が生じている.
次年度は,研究計画最終年度であるので,前年度控えていた物品の購入を再開し,学会発表もおこなう予定である.次年度使用額は,それほど多い額ではないので,当初から計画的に使用できるものと考えている.

  • Research Products

    (2 results)

All 2024 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] 認知度の低い自然・文化観光資源の利用促進における個人の嗜好を考慮した行き先推薦システムの提案2024

    • Author(s)
      稲川敬介,嶋崎善章
    • Journal Title

      日本経営数学会誌

      Volume: 42巻1・2号 Pages: pp.55-69

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] アクセシビリティによる施設削減計画の影響分析について2023

    • Author(s)
      稲川敬介
    • Journal Title

      日本経営数学会誌

      Volume: 41巻1・2号 Pages: pp.19-31

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2024-12-25  

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