2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a real-time production scheduling system for the fourth industrial revolution
Project/Area Number |
19K04883
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
平林 直樹 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (80199091)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森澤 和子 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60220050)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 生産スケジューリング / リアルタイムスケジューリング / 規範スケジュール / 多目的最適化 / ディスパッチングルール / 自律分散型スケジューリング |
Outline of Annual Research Achievements |
不安定な需要動向,異常気象および諸外国との摩擦などによる生産環境の変化に柔軟に対応し,第4次産業革命を推進するためには,リアルタイム生産スケジューリング法の開発が重要となる.従来の不確実環境下での生産スケジューリング手法の多くは,基本構造が旧来の静的スケジューリングと大差無く柔軟性に欠ける.これに対して,IoTベースの自律分散型のスケジューリング法が提案されているが,近視眼的な情報に基づく簡便なディスパッチングルールによる意思決定を主としているために高精度のスケジュールを得ることは困難である.本研究では,大域的な情報に基づき静的に生成された非劣スケジュール集合の中からリアルタイムに参照すべき規範スケジュールを選定し,本情報を反映させた自律分散型の意思決定により,高精度のスケジュールを柔軟かつ効率的に決定するスケジューリングシステムを開発する. 初年度の令和元年度には,まず,自律分散型スケジューリングにおける各構成要素の意思決定法について検討した.単一尺度により意思決定を行っていた従来法よりも高精度のスケジュールを得るために,複数尺度の優先順位に基づく加重和による自律分散型スケジューリング方式を提案した.その際,それぞれの尺度の基本的な考え方に準じ,各評価項目の情報が意思決定により強く反映されるべきかどうかを,生産システムの状態から判定しうる基準を設け,その基準値に基づきダイナミックに各尺度の重みを設定する方法について検討した. 次に,静的に求めた非劣スケジュール集合の中から意思決定の時刻にふさわしいスケジュールを規範スケジュールとして選定し,これを参照することによってリアルタイムスケジューリングにおける大域的な最適性を追求する枠組みについて検討した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自律分散型スケジューリングにおける各構成要素の複数尺度の優先順位に基づく加重和による意思決において用いる尺度として,XWINQ(Expected Work In Next Queue),SPT(Shortest Processing Time),MOPNR(Most Operation Remaining)および納期余裕時間が有効となることを予備実験により明らかにした.また,それぞれの尺度が意思決定に与える重みの値を生産システムの状態に応じてダイナミックに決定する手法を提案した. 多目的複合ランダムサンプルスケジューリング法(Multiobjective Scheduling Method using Complex Random Sampling,MOCRSS)を用いた非劣スケジュール集合の基本的な生成法およびこれに基づく規範スケジュールの基本的な生成法を提案した. また,意思決定結果が規範スケジュールに従う仮想の構成要素を設定し,これを他の構成要素と同様に扱うことにより,大域的な情報に基づき作成された高精度なスケジュールが持つ情報をリアルタイムスケジューリングに取り込む手法を提案した.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,前年度に提案した各手法のコーディングおよびそれらのシミュレーション実験による検証を実施する.これに並行して,時間の経過と共に実績スケジュールと乖離する非劣スケジュール集合の更新方法とこれに伴う規範スケジュールの選定方法について検討する.また,生産システムに何らかの異常が発生している場合の各構成要素の意思決定結果の矛盾解消法についても検討する予定である. 令和3年度は,意思決定者の選好構造に応じた非劣スケジュール集合の効率的探索法の開発に取り組む.これを用いて生成される代替スケジュール集合の中から意思決定者が自ら規範スケジュールを選択し,その選択結果を直ちにリアルタイムスケジュールに反映することができる意思決定支援システムを開発する予定である.
|
Causes of Carryover |
計画では,旅費執行を予定していたが,昨今の状況により参加予定学会が中止されたために執行を見送った.今後の状況推移を鑑み,学会発表を行う予定である.
|