2022 Fiscal Year Research-status Report
組織横断的データ活用における個人の関与の仕組みを考慮した意思決定支援モデル
Project/Area Number |
19K04885
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
円谷 友英 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 准教授 (10346702)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 意思決定支援 / 区間AHP / 相互利用 / 効率性評価 / 人材活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,データ提供者の視点から,プライバシー保護が考慮されたデータ共有を組織に促し,さらに,その解析結果から,データ提供にその効用の実感を促すことで,データ流通の円滑化と利活用のための社会意識の醸成に寄与することである.そのために,(1)k-memberクラスタリング法に基づくk匿名化のアプローチを活用して組織間データの相互利用を促し,(2)対象ごとの観点から解析を行えるようグループ区間AHPを拡張して,提供者個人のデータと,自組織の個人識別性を有するデータ,さらに,他組織からの匿名化データそれぞれの相互関係や影響力を反映して提供者個人の特性を導く方法論を確立する. (1)変化の激しい時代に組織がその生産性の向上を維持するためには,組織の壁を越えての人的交流が進んでいる.異なる組織から集まってくるメンバからなるチームのパフォーマンスを上げるには,メンバの特性に配慮したグループ形成が必要である.そこで,今年度は相互利用の目的を組織横断的なグループ形成に設定した.(2)自己評価と他者からの評価はその性質は異なるものの,いずれもメンバの特性を表している.そこで,多面的な評価として,両方を組み合わせて用いたグループ形成の方法を示した.自己評価は対象メンバがそれぞれに行うことができるが,他者からについては,他組織のメンバから評価を受けることは容易ではない.したがって,欠損データであることを前提とした手法の開発が必要となり,これを検討した. 本研究課題では,従前より,自組織や他組織の境を超えて各対象の特徴や位置づけを示すことに取り組んできたが,グループ形成のためのメンバの能力評価といった客観的指標のみでは表しづらい評価対象にも応用できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を構成する2つの要素研究それぞれに関して述べる. (1)各組織内で収集できるデータには,メンバの自己評価と他者からの評価がある.これらを相互利用して組織横断的なグループ形成を行うことで,顧客獲得のようにビジネスに直結するわけではないが,組織運営上は必要不可欠である人材活用という新たな視点でデータ利活用に関する提案できた. (2)人材評価・活用の視点から,自己や他者を評価する当事者の参加によるデータ収集により成り立つ仕組みであることから,対象メンバは自ら参加することで,情報を提供することやそのデータが利活用されることについて意識し理解を促すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
データ利活用はデータ提供者の参画が基盤となる.本研究課題では,参画者にデータ提供の対価として個々人のとって有効なフィードバックを行うで,データ提供への動機づけとしている.理論的側面からの展開としてグループ区間AHPを提案し,応用的側面から具体的な設定として,効率性評価に加えて人材評価・活用を検討するに至っている.最終年度は,理論面と応用面でのこれまでの研究成果を公表することに重点を置いて進めていく.
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Causes of Carryover |
(理由)予定していた国際会議がオンライン開催となり参加を見送った会議と参加したものの旅費が不要となったため. (使用計画)旅費と論文誌への投稿料とそれにかかる英文校正費として使用する.
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Research Products
(3 results)