2019 Fiscal Year Research-status Report
タイおよびベトナムにおける現地採用人材のワークモチベーションに関する研究
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19K04886
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
鴻巣 努 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (20316805)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ワークモチベーション / コミットメント / 人材開発 / タイ / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はワークモチベーションおよび組織コミットメントの観点から、タイおよびベトナムの人材に特徴的な点を明らかにする.また,当該地域における人材育成の問題点を探り,プロジェクトを成功に導く人材調達および育成に関する提案を行う. 2019年度は主として「課題① 組織コミットメントに関するタイ人およびベトナム人労働者に関する研究」を実施した.バンコク,チェンマイ,タンヤブリ,ランプーン,ナコンサワン,スラタニー,ホーチミンシティ,ハノイにおける製造業およびICT従事者およびこれらの業種への就業を希望する学生に対する調査を研究協力者とともに実施した.また,必要な要件を含むタイ語版およびベトナム語版の質問紙を作成した. さらに2020年度に予定していた「課題② タイ人およびベトナム人労働者のワークモチベーションに関する研究」を一部先行して実施した.バンコクおよびハノイにおける調査をはじめ,タイ南部における予備調査を完了した. 本調査はWebベースシステムを中心に行うことを予定しており,要件定義および開発を終え,システムを利用した調査を開始した.しかし2019年度の調査ではタイ北部では紙ベースの調査票を要求される事が多く,調査計画を一部変更して郵送による回答を可能とした.また,タイ中部では口頭による調査を実施したが,工場労働者には標準タイ語以外の話者が多く、日常の使用言語が標準タイ語とはかなり異なることが分かった。この特徴が調査地域および企業に特有のものであるか,調査協力者とともに検討することとした. また,「課題③ 人的資源の特性をふまえたプロジェクト成功のための人材調達および育成に関する研究」に関連して,現地の大学における説明会を開催した.バンコクにおける起業家を対象に,人材開発における組織コミットメント,中間管理職の育成,日本企業の成功事例の導入などについて意見交換を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度は主として「課題① 組織コミットメントに関するタイ人およびベトナム人労働者に関する研究」を実施したが、当初予定していたバンコク,スラタニー,タンヤブリ,ホーチミンシティ,ハノイに加え、チェンマイ,ナコンサワン,ランプーンにおける調査を実施した.予定していた製造業およびICT従事者に加え,地域情報を理解している公務員からの意見聴取ができた点が研究の進捗に大きく寄与したものと考えている.また、これらの業種への就業を希望する学生への調査にスコープを拡大し,都市部における学生の就職に関する意識調査をすることができた. タイでは大企業に就職するよりも自身の起業を目標としている学生が非常に多く,起業した社会人に対する評価が高い傾向がある.そこで、課題③の遂行に関連して,起業家との意見交換会を実施し,人材開発における組織コミットメント,中間管理職の育成,日本企業の成功事例の導入などについて調査した.これにより得られた知見は先の質問紙の作成およびデータ解析に反映させており,当初予定していた内容よりも計画が進展したと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査は当初Webベースシステムを中心に行うことを予定しており,2019年度では要件定義および開発を終え,システムを利用した調査を開始した.しかしタイ北部では紙ベースの調査票を要求される事が多く,調査計画を一部変更して郵送による回答を可能とした.また,タイ中部では質問紙に加え,口頭による説明を必要とする場面があり,より精度の高いデータを取得するためにはインタビュー形式による調査が必要であると考えられた。今後,標準タイ語以外の被験者に対する方法を研究協力者とともに検討してゆくこととした。話者が多く、日常の使用言語が標準タイ語とはかなり異なることが分かった。この特徴が調査地域および企業に特有のものであるか,調査協力者とともに検討することとした. 今後の懸念として、新型コロナウィルスの感染拡大による渡航制限が継続することがあり,調査の遂行に支障が出てくることが考えられる。現地研究協力者とのコミュニケーションの一部はできる限りオンラインで対応しているが、調査については現地の状況を注視しつつ、計画を変更する必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、2020年2月に予定していた現地調査の一部を変更したことによる。現在,ベトナムでは比較的感染が抑えられているものの、タイでは都市部を中心に感染拡大のリスクが残っている。また、日本からの渡航が当初予定通り進まない可能性が高いため、可能なものはリモートに移行し、必要に応じて調査計画を変更する必要があると考えている。
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