2019 Fiscal Year Research-status Report
New developments of extreme value theory based on monitoring data and its statistical inference
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19K04890
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
長塚 豪己 中央大学, 理工学部, 教授 (30384738)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統計的推測理論 / 極値理論 / 一般化パレート分布 / 劣化モデル / 一般化逆ガウス分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害や事故等、社会に甚大な被害を及ぼす現象は、異常に大きな、あるいは小さなデータが観測されるようなケースで発生する。異常に大きな(小さな)データは稀にしか起こらない事象と結びついているので、通常の統計手法では歯が立たない。このような極値データを扱う極値統計は、近年極めて重要性を増している。極値統計では、極値理論に基づき導出される一般化極値分布(GEV)を用いて統一的に議論を進める試みがなされてきた。しかし、GEVは、”非正則分布”と呼ばれる特殊な分布で、正則条件が破綻しており、限定的なパラメータ範囲でしか点推定量が得られない。よって、区間推定法や仮説検定法に関する理論体系、並びに体系的な方法論の構築もされてこなかった。一方、極値データを扱う極値統計においては、データ数が極めて少なくなる、という統計的推測における致命的な問題(小標本問題)が発生する。しかし最近、計測技術、及び情報技術の発達により、様々な対象のモニタリングデータが得られるようになった。稀な事象に至るまでの対象をモニタリングし、その情報を推測に組み込むことができれば、極値統計における小標本問題を解決することが可能と考えられる。 このような課題の元で、本年度は以下の成果を得た。 (1)極値統計における小標本問題を回避するための閾値超過データにおける統合された極値分布である一般化パレート分布(GPD)において、研究代表者が開発してきた全てのパラメータ範囲において一意に推定値が求められる推定法に基づく漸近理論の構築とそれに基づく区間推定法の開発。 (2)モニタリングデータの一つである劣化データについて、自身は再生性を持たないが、再生性を持つ代表的な絶対連続分布である逆ガウス、ガンマ、正規分布を包含する一般化逆ガウス分布に基づくモデリングとその推定法の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属先で学科長を務めることとなり、更に学科名所変更等大きな仕事があり、研究に割ける時間が予定よりも少なくなってしまった。学科長の任期は本年度限りであるため、来年度は予定通り研究時間を確保できると考えられ、本課題の研究も遅れを取り戻しながら予定通り進めることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、一般化パレート分布(GPD)において、非正則問題を回避した推測理論を確立するため、研究代表者が開発してきた点推定法に基づく区間推定、仮説検定の手法論の構築とパフォーマンス評価を行う予定である。また、実データへのあてはめも行う。 更に、柔軟かつ好ましい数学的特性も持つ劣化モデルの構築も行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
国際会議、及び海外研究機関への出張を予定していたが、招待講演、及び招聘とのことで、旅費並びに滞在費を先方に支出していただくこととなったため。
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