2020 Fiscal Year Research-status Report
コピュラによる大規模システムにおける依存故障解析の精緻化と実用化
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19K04892
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
木村 光宏 法政大学, 理工学部, 教授 (20263486)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | FGMコピュラ / パラメータ推定 / ファクターコピュラ / 共単調コピュラ / 成長曲線モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に目途のついたFGMコピュラ(Farlie-Gumbel-Morgenstern copula)における依存性パラメータの多段推定法とその統計的性質について、研究協力者の協力のもと、査読付き論文の採録まで到達した(論文の公表は2021年4月であるため次年度の論文リストに収録する)。中でも当該論文中、当研究代表者が主に研究と執筆を担当した6章においては、実測された4変量データの依存性分析のための、14個からなる未知パラメータの推定の実例を示すことができた。これら依存性パラメータの推定結果は、データ提供者らによるデータ採取の際の記録、すなわち故障現象としていつ何が起こったかという記述とよく整合する結果となっていた。我々が提案した依存故障のモデルとパラメータ推定法が現実のデータをよく記述することが示せた点は、今後の研究に有用であると考えている。 コピュラを用いた信頼性解析手法については、上記のものとは別に、ファクターコピュラ(factor copula)を利用する手法が知られているが、これをコヒーレントシステム(coherent system)に対して導入する手法についても研究を進めた。こちらについては国際会議(オンライン開催)において発表し、今後に繋げることとした。さらに、研究協力者の発案に基づく、共単調コピュラに関する新たな知見も得られつつあり、本助成対象研究への応用を今後検討する方向となっている。 一方、時系列データの解析法の一つとして成長曲線を用いるものが古くから知られているが、これに対する新しい知見を盛り込んだモデルとデータ処理法、解析例を述べた依頼論文も執筆した。この結果は本助成対象研究と現時点において直結するものではないが、今後の研究に資する可能性はあるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画した3つの段階について、第1段階に挙げた事項、コピュラのパラメータ推定法の確立については順調に推移した。しかしながらコロナ禍の影響もあり、第2段階に挙げている少数データの場合への対処法の開発と改善についての下調べ的な研究については進捗は比較的遅いと言える。一方、実システムへの適用を標榜した第3段階については、第1段階の結果が援用できる可能性が出てきており、今後検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画であったコピュラのパラメータ推定法の確立が、中程度の規模の実測データに関してほぼ達成され、これは当初計画において第3段階として計画していた、実システムへの適用についての見通しに繋がってきた。2021年度が研究計画の最終年度であり、別記した進捗状況報告において遅れのある事項(少数データの場合への対処法の開発と改善)とともに、今後推進する計画である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、当初計画に盛り込んでいた国内研究集会、国際会議等での研究発表に伴う旅費等について経費が大幅に削減されたことによる。今後の使用計画としては、コロナ禍の影響の多寡にもよるが、状況が許せば当初の計画に沿って国内・海外での旅費等に充てる。その見込みが早期の段階で立たない場合は、ここまでの研究で判明した別の事項、パラメータ推定に相当の計算機資源が必要であるという事実から、より計算能力の高いコンピュータやソフトウェアの購入に充てることも検討したい。
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