2023 Fiscal Year Annual Research Report
A deep-brain network hypothesis of crisis prevention ability: proposal and verification
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19K04921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片桐 祥雅 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 上席研究員 (60462876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光吉 俊二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (30570262)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 危険回避 / 背側前部帯状回 / 事象関連脱同期 / 心象 / 知覚 / プライミング / 側頭葉 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自動車運転における危機回避能力の神経基盤を明らかにし、高齢者の安全運転に資する技術を創製することである。 判断を障害する原因は外部情報の一部が欠落すると内部情報により補償する機能が人間には生得的に備わっておりこの補償機能による外部情報の歪曲であるという仮説を立てた。仮説検証のため、2つのタスクを健常若年被験者8名とともに行った。一つはGO/ NOGOパラダイムを踏襲する持続的注意機能検査(タスク1)とし、他方は心象により二つの語の整合性を判断する課題(タスク2)とした。タスク2は、具体的には、食事の場面を想定し、料理と料理または料理と道具という組み合わせの整合性を判断する課題であり、例えばスープースプーンは整合、ババロアーにんにくは不整合とした。タスク遂行中の脳波を測定し、行動結果とともに分析を行った。その結果、タスク1では知覚的プライミングに相当する刺激後200msに表れる陽性の事象関連電位に差異を認めたものの、深部脳活動には大きな違いは認められなかった。一方、タスク2では、初回で不整合の語対に対して陰性の不整合陰性脳波を認めるとともに、セッションを重ねるごとに刺激後170msに表れる陽性の事象関連電位(P170)が出現することを新たに発見した。一方、背側前部帯状回のダイナミクスを表す深部活動度は、P170の出現と相関して急峻かつ深い事象関連脱同期を示すとともに、脱同期から同期への変換が早まった。これに関連し、判断時間が短縮するとともに判断の精度が有意に上昇した。以上の結果から、整合性の判断には背側前部帯状回による意思決定が必要であること、この意思決定は心象によるエミュレーションにより行われ、その結果は感覚野を変調し注意喚起のためのプライミングを形成することを新たに見出した。一方、単純選択課題ではこうしたプライミングの形成は認められなかった。
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