2020 Fiscal Year Research-status Report
本質安全制御の確立とそのパワーアシストシステムへの適用
Project/Area Number |
19K04924
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
清田 高徳 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (00195405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南山 靖博 久留米工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20549688)
岡田 伸廣 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (80224020)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 安全工学 / パワーアシスト / 人間機械系 / 制御工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、本質安全制御を確立し、実システムへの適用を実現することである。本質安全制御は、人間との共存が必要となる機械において、人間の本質安全構造に基づいた制御により本質安全要求に応えることができるという考えに基づいている。実施計画に対する当該年度の研究成果は、以下の通りである。 1)本質安全制御の確立:受動素子を用いて安全な平衡状態を作り出し、それを基本状態と定める。アクチュエータは、崩れた平衡状態を回復するためだけに動作し、その結果として目的制御が実現される。この考え方が、本質安全制御のひとつの実装方法であることを示した。そして、この原理に基づいたパワーアシストシステム開発を進めた。 2)パワーアシストシステムの開発:本研究で開発中のパワーアシストシステムは、重量物を直接手で操作できるダイレクトハンドリング装置であり、ばねを用いて重力との平衡状態作り出し、人の手の力でその平衡状態を崩すことでモータが回転する。Arduinoを用いた制御システムにより、ゼンマイばねとコイルばねの比較を行った。システムで使用するコイルばねは、設計における課題が生じ、解決に取り組んでいる。 3)パワーアシスト台車の開発:本台車は、登り坂では傾斜角の増加に伴って増大する負荷の分だけをモータでアシストすることで、傾斜角によらずに同程度の人の力で台車を移動させるシステムである。屋外で段差実験、片流れ実験、耐荷重実験、カーブ実験、速度実験を行って有効性を検証し、それに基づく改良設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナによる大学への入構制限のため、計画通りに実験が進められず、その影響が大きかった。 2)パワーアシストシステムの開発:ばねの改良設計と製作を行ったが、ばね定数の調整だけでは安定した制御が実現できない場合があることが判明し、その対策に時間を取られている。このため、システムの開発はやや遅れている。 3)パワーアシスト台車の開発:改造した装置の評価実験を進めながら、改良型の設計を行った。今年度に改良型を作り上げる予定であったが、まだ完成には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1)本質安全制御の確立:本質安全制御の実装方法を提案してその有効性は確認できたので、それに監視構造を持たせることで、より安全な制御法としての確立を目指す。以下の2つのシステムの実用的開発を通して、その結果をフィードバックすることで本質安全制御の有効性を立証する形で研究を進める。 2)パワーアシストシステムの開発:ばねの設計が大きなポイントとなっているので、この点を中心に研究を進める。さらに、装置の小型化、フェールセーフの実現、水平方向の移動付加について検討を進め、改良システムの製作と評価を行う。 3)パワーアシスト台車の開発:当初の問題点は解決できたので、改良型の設計を進めて製作し、実験による評価を行う。摩擦面の変化など、環境変化への対応を調べた後、操作性の向上、システム全体の小型軽量化、安全システムの構築に取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナによる影響で、国際会議や国内学会講演会が全てオンライン開催になったため、旅費に大きな繰り越しが生じた。最終年度も旅費の使用はあまり見込めそうにないので、その場合は実験用の物品購入に回す予定である。
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Research Products
(3 results)