2022 Fiscal Year Research-status Report
ポーラス構造部材を用いた高気密空間内水素ガス爆発事故被害低減法の実現可能性検証
Project/Area Number |
19K04929
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
斉藤 寛泰 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (80362284)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 爆発圧力緩和 / 水素ガス爆発 / 減災システム / ポーラス体 / 消炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの計画年度で実施した研究において,高気密空間内壁に設置するポーラス体充填層内のポーラス構造部材として数種の粒径のガラスビーズなどの粒子を用い,爆発圧力の緩和性能について検証してきた.一方,ポーラス構造体には様々な形状をもつものがあるため,非球系の構造物の利用可能性を検証しておくことも重要ではないかとの考えから,本年度は,OpenFOAMを用いた2次元数値シミュレーションを導入し,非球形部材(オブスタクル)の冷却壁面としての抜熱性能,ならびに,爆発火炎の消炎性能について検討した. まず,冷却壁面としての機能を付加したオブスタクルを設置した狭流路内に高温のガスを流し,オブスタクルの形状や設置の向きなどのパラメータが壁面熱流束や下流の温度分布に与える影響を調べた.オブスタクルの形状は,周長を同じにした長方形,三角形,翼であり,高温ガス流に対する向きを変え,抜熱性能を調べたところ,頂点を上流に向けた逆三角形オブスタクルが良い熱流束性能を示した.次に,逆三角形オブスタクルに対し,反応性Navie-Storks方程式と詳細な物質移動・化学反応速度論を考慮した支配方程式を用いて数値計算を行った結果,検討した形状と設置条件のなかでは,燃焼波を最も減衰させられることが分かった.これらの結果は,ポーラス体充填層に空隙の形状を調整した構造部材を設置することで,爆発火炎の減衰,消炎を効果を向上できる可能性のあることを示している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポーラス体には様々な形状をもつものがあるが,単純な球形粒子の充填層を爆発空間内壁に設置することで最大爆発過圧力を減少させることが可能であることを示してきた.また,一次元配管装置を用いた実験では,高速の爆燃・爆轟波に対しても有効性を示す結果を得ている.さらに,高温ガスや火炎がどのような形状を持つ冷却壁面と接するのがよいかについても追加で検討を加えた.従って,当初の研究目的であるポーラス構造部材を用いた高気密空間内水素ガス爆発の被害逓減法の実現可能性自体は示すことができたのではないかとの見解である.
|
Strategy for Future Research Activity |
検討が不十分な課題として,スケール効果とポーラス体充填空間内の燃焼波の進行,消炎(あるいは,場合により,火炎強度の増強)のメカニズム解明が残されている.最終年度である次年度は,これらの検討と期間全体の総括を行う.
|