2023 Fiscal Year Annual Research Report
ポーラス構造部材を用いた高気密空間内水素ガス爆発事故被害低減法の実現可能性検証
Project/Area Number |
19K04929
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
斉藤 寛泰 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (80362284)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 爆発圧力緩和 / 水素ガス爆発 / 減災システム / ポーラス体 / 消炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの実験的検証により,気密性の高い空間内で発生した水素ガス爆発による圧力上昇は,爆発空間の一部の壁面にポーラス構造体を充填した空間を設置することで,かなり緩和できる可能性のあることを示してきた.ただし,ここまでの三次元爆燃空間に対する検証は,直径100mm,高さ100mmの爆発空間を有する円筒形状定容燃焼容器(容器中央の爆発中央空間とポーラス体充填空間の体積比1:1)で実施されたものであり,爆発空間体積を増加させるなど,スケールに対する影響は未検証であった.そこで,2023年度は,ポーラス体充填空間体積を変えずに爆発空間の高さを200mmとし,2倍の爆発空間(容器中央の爆発中央空間とポーラス体充填空間の体積比2:1)で生じた水素ガス爆発に対する圧力緩和の効果を調べる実験を実施した.その結果,これまで最大過圧力を30%程度は低下させる効果が確認できていた3mmのガラスビーズであっても,最大過圧力の減衰はわずかにとどまるという結果であった.この結果から,爆発圧力を緩和させるためのポーラス構造体充填区間を爆発空間体積に応じて増加させるか,もしくは,ポーラス構造体そのものに,消炎の効果等のさらなる「機能性」を持たせることが必要であるとの認識に至った.そこで,追加の検証として,同程度の直径をもつ活性アルミナボール(粒子自体に多くの細孔が存在している)を用いて同様の実験を実施したところ,爆発圧力が半減するという結果を得た.現時点では,詳細な圧力緩和のメカニズムは不明であるが,ポーラス構造体として使用する粒子の特性によっては,極めて大きな減災効果を期待できることが明らかとなった.
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