2021 Fiscal Year Research-status Report
In-situ analysis of thermal decomposition of electrode materials during thermal runaway of lithium-ion batteries
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19K04941
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
齋藤 喜康 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (10357064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 弘典 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 総括研究主幹 (30357016)
岡田 賢 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80356683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リチウムイオン電池 / 熱暴走 / 熱測定 / X線回折測定 / 昇温測定 / 非破壊分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究に継続して、大型放射光施設SPring-8を利用し、リチウムイオン電池を昇温しながら非破壊でX線回折測定を実施する計画であったが、マシンタイムを確保することが出来なかったため、過去のデータを見直し、詳細解析を進めた。 ラミネート型リチウムイオン電池を使用した昇温X線回折測定による熱暴走反応の解析に関し、前年度の研究で昇温中に内部短絡が発生する場合があることが確認されたので、その対策について検討した。その結果、セパレータの種類やセパレータの固定方法等が短絡の発生しやすさに関連している可能性が示唆された。アミド系の不織布よりもポリオレフィン系の三層セパレータを用いた方が短絡が起きにくく、加熱時の収縮を抑えるためにセパレータの周囲全体をラミネートフィルムにテープ止めすることが重要との知見を得た。 また、前年度は円筒形の耐圧容器に密封するためにラミネートセルを捲回して試験に用いたが、平板形状のまま加熱した方が短絡が起きにくいことが示唆されたので、捲回せずに昇温X線回折測定が実施できるような試料電池ホルダーの構造について、熱・流体解析ソフトウェアで熱シミュレーションを行いながら考察し、改良型のホルダーを試作した。 X線回折測定以外に、円筒電池を加熱しながら非破壊で内部の部材の変化を評価することが可能な手法について調査を行った結果、コンプトン散乱測定が注目されたので、次年度に実施する方向で実験の計画を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本課題で目的としている円筒型リチウムイオン電池や耐圧容器の中に密封したラミネート型リチウムイオン電池の内部の構成部材の結晶構造を非破壊で評価するためは、高エネルギーX線を試料に照射してX線回折測定が実施できる大型放射光施設SPring-8のビームラインの利用が不可欠である。しかし2021年度は例年以上にビームライン利用のための課題申請の競争率が激しく(前年度にコロナ禍で利用者が減少していたことの反動と、2021年度末から2022年度にかけてビームラインの再編が行われて2022年度上期にかけてX線回折測定用のビームラインのマシンタイムが大きく減少することが計画されていたため)、申請した課題が採択を受けられなかったため、計画通りに研究を進めることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
大型放射光施設SPring-8の利用に係り、円筒型リチウムイオン電池を高温で長時間保持した時の電池内の電極活物質の結晶構造の経時変化をX線回折測定を行って評価するという内容で2022年度上期に課題申請を行った結果、マシンタイムを獲得することができた。また、新規な測定手法として調査したコンプトン散乱測定についてもマシンタイムも確保することができた。 2022年度はこれらの2つの測定を実施し、結果を照合し、更に研究室で実施する熱量計を用いた昇温熱測定の結果について総合的に考察し、反応速度論的解析を行うことで、リチウムイオン電池の長期保存についての加速的な耐用年数評価手法として確立する。また、実際に保存試験を実施し、結果の妥当性の検証も行う予定である。 更に、電池内部の非破壊温度測定に関しては、これまでは負極集電体の銅の回折角の温度依存性に着目した評価を試みてきたが、応力歪の影響が大きいことが示唆されたので、正極集電体のアルミニウムの回折角の評価を優先的に進める予定である。 熱暴走反応の解析に関しては、従来はラミネート型電池を耐圧容器に密封する際に円筒状に丸める必要があり、昇温測定中に内部短絡が起きやすい傾向があったため、今年度は平板状のまま密封できるような耐圧容器を使用することを検討する。
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Causes of Carryover |
本研究の遂行に当たっては、高エネルギーX線を試料に照射してX線回折測定が実施できる大型放射光施設SPring-8のビームラインの利用が不可欠である。しかし2021年度はSPring-8に申請した課題が採択されす、計画通りに研究を進めることが出来なかった。そこで申請課題の内容を再検討し、新たな評価手法としてコンプトン散乱を追加し、コンプトン散乱とX線回折の2つの課題で円筒型リチウムイオン電池の高温測定をテーマとして2022年度上期に申請したところ、採択となり、マシンタイムを確保することができた。次年度はこの課題実施に当たり、必要な消耗品の購入、およびSPring-8への交通費等に本予算を使用する。
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Research Products
(7 results)