2021 Fiscal Year Annual Research Report
超音波で消す革新的消火方法開発のための流れと火炎の干渉メカニズムと最適条件の解明
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19K04944
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣田 光智 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50333860)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超音波 / 消火 / 流れの可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超音波を用いて固体、液体、気体中に形成される火炎を抑制あるいは消火させるという、水を使わない新規の消火方法の開発を目的とする。特に、超音波が作用する媒質の流れと火炎の関係から、超音波を作用させた火炎が消火に至るメカニズムを調査する。 2021年度は、固体燃料・液体燃料・気体燃料など燃料形態の違いが超音波を用いた消火に及ぼす影響に着目した。まず、固体燃料の燃焼として線香のくん焼と被覆電線を例に実験を行った。次に、液体燃料の燃焼としてエタノールプール火炎を例に実験を行った。さらに、気体燃料の燃焼として同軸二重円形バーナを用いたメタン空気火炎を例に実験を行った。固体燃料のように可燃物からの熱分解ガスへの着火で反応が継続する場合、熱分解をしている領域へ局所的に定在音場の節の領域を干渉させることで、その領域に向かって音響流と音響放射力が発生してその効果で消火した。線香の場合、火種ごと吹き飛ばすことができた。被覆電線の場合、発生する火炎の大きさを抑え込み熱分解ガスの発生を少なくすることで消火した。進行波ではこの効果は得られず消火に至らなかった。また液体燃料や気体燃料のように空間中を伝播する火炎の場合、未燃の領域にあらかじめある程度大きな音圧で超音波を照射することで火炎の伝播を遮る効果が得られた。プール火炎では進行波の音場で伝播の正面からの照射で、バーナ火炎では定在音場で伝播の進行方向を挟み込むことで、未燃ガスの流れの方向と火炎の大きさが抑えられ伝播を抑制した。すでに着火した領域への音場の照射では、完全な消火には至らないものの、火炎長さを強制的に小さくすることが可能であり、火勢を抑え込むことができた。これらから、対象物の大きさに合わせて超音波の効果を利用することで、初期消火レベルの火炎でその大きさと同等の音場を照射できる範囲では火炎伝播抑制と消火が可能であることがわかった。
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