• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

カルデラ湖の水質を用いた十和田火山活動モニタリング手法の開発

Research Project

Project/Area Number 19K04945
Research InstitutionAkita University

Principal Investigator

網田 和宏  秋田大学, 理工学研究科, 助教 (20378540)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 大沢 信二  京都大学, 理学研究科, 教授 (30243009)
下田 玄  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (60415693)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2025-03-31
Keywords十和田カルデラ / 火山活動 / モニタリング / 水質 / 安定同位体
Outline of Annual Research Achievements

2022年度までに研究計画の中で取得することを目指したデータの多くを得ることができたことから,2023年度は全体計画の最終年と位置づけ,残された化学分析項目である湖水の微量成分分析を終了させた後に,各種データに対する総合的な解釈を行い,湖水の化学組成を用いた火山活動モニタリングシステムの具体的な実施方法について提示する予定であった.ただ,分析を行う事になっていた産業技術総合研究所所属の研究分担担当者との間での日程調整をつける事が叶わず,微量成分分析が行われないまま年度の終了を迎えることとなってしまった.
一方で,湖沼の専門家が多く出席する学会である日本陸水学会に参加し情報収集や他の研究者との間で意見交換を行うなど,データの総合的な解釈を行うための準備は進めることができた.本研究によって示されてきた知見として,(1)主要化学成分の多くにおいて,十和田湖の表層付近と300m深の水の水質とでは湖底付近にある水の方が約1.3倍程度,濃度が高くなっていること,(2)湖水温の鉛直方向のプロファイルの季節変動的な違いが認められること,(3)湖水に含まれる硫酸イオンおよび炭酸成分の同位体比が,火山性流体の持つ同位体比と同等の値を有していること,などを挙げる事ができるが,この様な知見は,本研究課題の申請時点で作業仮設として構築した十和田湖の物質循環モデルから想起される化学的特性に一致するものであり,計画に遅れが生じてはいるものの,研究の内容自体は大きな問題を抱えることなくここまで進捗してきているものであると判断している.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本研究課題は,新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けて計画が遅れてきた部分はあったが,その状況下においても毎年,観測データを増やしていくなど年度ごとに設定した目的を着実に達成しながら,計画を進めていくことができていた.しかし,計画の最終年として位置付けた2023年度については,初めて予定していた活動を終えることができず,研究機関の再延長を申請せざるを得ない状況となってしまった.
唯一,残された課題となった微量成分分析の結果を待たずに研究成果をまとめることもできなくはなかったが,微量成分分析の対象に含まれているリチウムイオンについては,本研究の着想を得るためのきっかけとなった元素であり,その濃度を明らかにすることにより,十和田湖内における火山性流体(あるいは温泉)の希釈率に関する推定が可能となるなど,研究成果に与える影響は小さくない.そのため,研究期間の再延長を申し出ることとし微量成分の分析を終了させ,総合解釈につなげる事にした.昨年度に引き続きの状況となるが,分析用の資料については化学的な前処理を終えた上で試料を保管できており,後は機器分析を待つだけの状態であることから,最終年にデータを出すことが十分に可能だと考えている.
以上の状況にあるとはいえ,再度の期間延長を申請した主な要因は,2023年度の活動が思うように進められなかったことに起因しているため,研究計画の中における進行状況としては,「遅れている」にせざる得ないと判断した.

Strategy for Future Research Activity

ここまでの状況より,研究目的を遂行する上で必要な最低限の情報を得るための観測は実施できたものと判断している.そのため,再び修正した計画の最終年にあたる今年度は,主にデータ解析と結果のまとめ,および研究結果の公表を中心とした活動を行う予定である.ただし「進捗状況」の欄でも触れたように,本研究の中で計画されてきた活動として,唯一,未達の状況となっている微量成分の分析に最優先に取り組むことにし,可能な限り早い段階で全てのデータを揃えることに取り組んでいく.そして,残った時間で総合的なデータ解釈を進めていく.加えて,ここまでのデータ解析を通じて判明してきたことではあるが,水の水素・酸素同位体比のデータが少なくなってしまった(予算の都合上)関係より,湖沼の水循環に関する検討については,より詳細に検討を進める余地が残されていることから,期間延長が認められた本年度の時間を有効に活用して考察を深めていきたいと考えている.
以上の,最終結果の取りまとめの作業を行うっていく中で学会発表も計画しており,それらの機会を活用して湖沼研究の専門家らとも積極的な議論を行い,研究代表者の考察やデータの解釈の妥当性について十分な検証を行っていく.最終的に本研究の成果を踏まえた上で,十和田湖における水質変動を用いた火山活動モニタリング手法をの実施法について提案を行う.

Causes of Carryover

ここまでに述べてきたように,2022年度中に行う予定であった微量成分分析を実施するための旅費として残してあった予算を消化できなかったことが,次年度使用額が発生した主たる理由である.
そのため,残された予算は主に,微量成分分析を実施するための分析費用(旅費および分析のための消耗品購入など)に充てることを想定しているが過去の反省も踏まえ,状況によっては微量成分分析を外注分析に切り替えることとし,その場合には残り予算を外注委託費として使用することも視野に入れている.また,その他の使途としては,成果の公表も行いたいと考えているため,予算の残額の許す範囲で,情報収集や学会発表のための旅費としても使用することを予定している.

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi