2021 Fiscal Year Research-status Report
津波複合災害予測における土砂移動および物体漂流の影響度評価手法に関する研究
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19K04947
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米山 望 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90371492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平石 哲也 京都大学, 防災研究所, 教授 (20371750)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 津波 / 地すべり / 漂流物 / 漂流物 / 黒津波 / 漂流物 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)地すべり津波に関する検討:陸上や海中の土塊が滑落して引き起こす津波を対象とし,移動する土塊を物体として扱い,物体を移動させて津波を発生させる地すべりの挙動を解析により検討する.今年度は,これまでの研究成果を投稿していた査読付き論文が2編採択されるとともに,土木学会の講演会で発表した.これらの論文では,提案する手法が地すべりのメカニズムの検討に役立つこと,現地適用には,提案したハイブリッド手法が有効であることを明らかにした. 2)物体移動に関する検討:津波で移動する物体などが防潮堤に及ぼす衝突力を予測できるモデルを構築している.今年度は,移動物体として,流起式可動防波堤の扉体を対象とした三次元数値解析を試みた.流起式可動防波堤とは,津波等の強い流れが発生すると自動的に起き上がり防波堤の役割を果たすものである.扉体に孤立波を作用させて起き上がる現象を開発中の漂流物体移動を再現できる三次元モデルで定性的に再現できることを確認したが,定量的な確認は今後の課題とした. 3)土砂移動に関する検討:津波により砂丘などの土砂が移動する現象を対象としたモデルを構築している.今年度は,これまで検討してきた,砂丘を乗り越えて押し寄せる津波が防潮堤に及ぼす波力の予測に関する研究成果を査読付き論文集に投稿した.この論文では,砂丘の粒径の大小が波力に与える影響が小さいことを明らかにした. 4)黒津波に関する検討:海底の土砂などを巻き込むことにより密度を増した黒津波と呼ばれる津波の挙動に関する研究に着手した.黒津波は,土砂などの影響を受け海水より高い密度を持つが,防潮堤等に作用した場合,その密度上昇割合以上の割合で津波波力が増大することが懸念されており,そのメカニズムの解明が必要となっている.今年度は,密度増加と波力増加の関係について基礎的な検討を行った.定量的な検討は今後の課題とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由による. 1.本研究の中心課題である解析モデルの改良に関して,本研究で対象とする物体移動,土砂移動の二項目で進展を得たこと 2.地すべり津波に関して、査読付き論文採択や講演会での発表等を行い研究成果の公表を行うことができたこと
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Strategy for Future Research Activity |
1)物体移動に関する検討:今年度に試みた流起式可動防波堤の扉体挙動の三次元解析について、既往の実験などと比較して解析精度の定量的な検証を行うとともに、現地に適用して有効性を確認し,論文に纏める. 2)土砂移動に関する検討:今年度は,砂丘の粒径の大小が波力に与える影響が小さいことを明らかにした論文を投稿したが,次年度は,砂丘が固定されている場合(固定床)の解析を行い,移動床(通常の砂丘)との違いについて詳細に検討し,論文に纏める. 3)黒津波に関する検討:既往の実験などと比較することにより,今年度行った計算結果を定量的に比較・検討し,論文に纏める.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響のため,海外学会への参加が取りやめになり,次年度使用額が生じた.次年度は海外や国内の遠隔地で行われる学会に出席できる可能性があり,その費用に充てる予定である.
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Research Products
(3 results)