2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on measurement technology to detect river bank and subsurface deformation simultaneously, accurately, and at low cost
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19K04949
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西山 哲 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (00324658)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ICRT / 自動運転技術 / 3次元データ / グリーンレーザー / リアルタイム処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)無人自動運転技術の適用による小型低コストMMS計測車両の実現:レーザで求める走行軌跡で自己測位を修正するSLAMアルゴリズムの有用性を試行した.当測位技術を構築することで,中小河川の天端や法尻の走行ができる低コスト化が可能な車両搭載型3次元データ計測システムを実現するのが目標である.本年度は岡山県内に流れる旭川流域において,携帯型レーザスキャナとSLAMによる測位の組み合わせで計測した座標値の精度検証を実施した.その結果,SLAMによる自己測位精度は,車両走行型計測システムに適用できる精度を有していることを明らかにした.これにより携帯型スキャナを車両に搭載することで,計測したレーザ点群に座標値を与える走行型計測手法が可能であることを実証した. 2)高密度3次元データのリアルタイム処理技術の開発:無自動導運転の分野で実用化されているレーザー点群解析技術を導入し,走行時にリアルタイムで河川堤防および河床の異常個所を検出するソフトを開発するのが目標である.本年度は,前記計測によって取得されたレーザー点群を用いて,河川堤防の形状をリアルタイムかつ高精度に再現できるアルゴリズムが構築できたことを検証できた. 3)水中を透過し河床および構造物の洗掘等の計測を可能にするグリーンレーザーの活用:本年度は波長515nm の緑色レーザーの水中透過能力を岡山県内の旭川にて検証した.その結果,約3mまで可視化できる透明度において,約2mの水深まで高密度のレーザ計測が可能であるスキャナの開発が可能であることを実証した.これにより緑色のレーザースキャナを車両に搭載し,提体の変形と河床変動,河岸浸食や護岸前面の深掘れ等の状況などを同時に計測する計測技術を構築できることを明らかにした,以上,困難,かつ緊急を要する中小河川管理に有用なモニタリングシステム実現のための基礎データを蓄積することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は河川縦断測量だけでなく河床を含めた横断計測も可能にするレーザースキャナを搭載した小型車両による高精度移動計測と,計測データのリアルタイム処理技術を融合させ,車両走行するだけで人的労力を要することなく広域を迅速かつ詳細に点検するモニタリング手法を完成させることが目標である.そのために次の各項目の開発が必要であり,記述するような成果を出すことができた. 1)無人自動運転技術の適用による小型低コストMMS計測車両の実現:車両搭載用の携帯型レーザスキャナとSLAMによる測位の組み合わせにより,計測した座標値の精度検証を実施した.その結果,携帯型スキャナを車両に搭載することで,計測したレーザ点群に座標値を与える走行型計測手法を実現できることを実証し,中小河川を対象にした小型者の走行型計測システムの開発が可能になった. 2)高密度3次元データのリアルタイム処理技術の開発:前記車両搭載用の携帯型レーザスキャナとSLAMによる計測システムによって取得されたレーザー点群から,河川堤防の形状をリアルタイムかつ高精度に再現するアルゴリズムを構築し,その実用性を堤防ならびに堤防を模擬した斜面などの実現場を対象に実施して検証した. 3)水中を透過し河床および構造物の洗掘等の計測を可能にするグリーンレーザーの活用:波長515nm の緑色レーザーの水中透過能力を実河川で検証した.その結果,水の透過度に依存して計測できる水深が決まること,約3mまで可視化できる透明度の状況下で,約2mの水深が計測できるスキャナの開発が可能であることを実証した.これらの成果により緑色のレーザースキャナを車両に搭載し,提体の変形と河床変動,河岸浸食や護岸前面の深掘れ等の状況などを同時に計測する計測技術が構築できることを明らかにした,この成果により(2)の評価は妥当だと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,1級河川から自治体管理の2級および準用河川まで,あらゆる河川に適用できる車両走行型計測システムを実現し,さらに定期縦断に加えて河床の変動把握を可能にする横断測量もリアルタイムでモニタリングできる点検技術を完成させるものである.そのために初年度に続いて,下記の項目の開発を進める. 1)無人自動運転技術の適用による小型低コスト走行型計測車両の実現:本研究では,車輪に取り付けられた回転量計から自己位置を測位するデッドレコニングと称される測位とレーザで求める走行軌跡で当該測位を修正するSLAMアルゴリズムを導入する自己測位に対する有効性の検証を進める.具体的には,当技術により,GNSSを補完的に1台使用するだけで,緯度・経度方向10mm,高さ方向30mmの高精度測位が可能となることを実証する. 2)高密度3次元データのリアルタイム処理技術の開発:無自動導運転の分野で実用化されているICPと称されるアルゴリズムを用いたレーザー点群解析技術の開発を進める.ICPは,ある時期に計測されたレーザー点群を,別の時期に計測された点群にフィットさせるために,どれだけ移動させたら良いのかを計算するアルゴリズムである.物体認識や車両自己位置推定用としてオ-プンソース化されており,レーザー点群間のノルム誤差を最小にする特異値分解を求めるプロセスによって高速処理できる.レーザスキャナを搭載した車両が走行するだけで,瞬時に変状を検知するICP処理ソフトを開発し,その有用性を実証する. 3)水中を透過し河床および構造物の洗掘等の計測を可能にするグリーンレーザーの活用:航空機に緑色レーザ専用のスキャナを搭載して計測する技術は,ALBと称されて実用化されており,透明度の約4倍の水深の3次元座標を取得することができる.本研究では,引き続き,同等の透過能力を有する車両搭載用緑色のレーザースキャナの開発を続ける.
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