2021 Fiscal Year Research-status Report
地震予測情報の発信のあり方に関する地震研究者とメディア関係者による協働的検証
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19K04961
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大谷 竜 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50356648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵藤 守 国立研究開発法人海洋研究開発機構, その他, その他 (00415986) [Withdrawn]
橋本 学 京都大学, 防災研究所, 教授 (20293962)
隈本 邦彦 江戸川大学, メディアコミュニケーション学部, 教授 (20422016)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 南海トラフ地震 / 臨時情報 / 不確実性 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年5月から提供が開始された「南海トラフ地震情報」について、国の文書等を用いて政策的観点から分析した。南海トラフ地震情報においては従来の風水害の警報等とは異なり、災害予測情報を運用する上での根本的な「考え方の転換」が行われていることが大きな特徴として明らかになった。それは「予測の確度は低いが,防災対応の開始のトリガーとなる情報(南海トラフ地震臨時情報)は出すこと」、しかしながら「防災対応の解除のトリガーとなる情報は出さないこと(その代わり、地震に関連する状況を解説する「南海トラフ地震関連解説情報」を随時発表すること)」を趣旨とするものである。こうした「考え方の転換」に照らして、現在進められている臨時情報を用いた防災対応において、報道等を中心にどのような点が課題となりうるかを、オンラインワークショップ等を通じて調査した。その結果、予測に関して「灰色情報」である南海トラフ地震情報はその「濃淡」さえも不明であり、情報の発表や報道において適切な「伝え方」が重要になってくるが、現状ではもっぱら「半割れケース」のみが取り上げられ、より社会的状況が不透明になると想定される他の異常現象のケースである「一部割ケース」や「ゆっくりすべりケース」に対する検討が必ずしも十分になされているとはいえないことが分かった。また、「事前避難等の警戒解除の根拠として南海トラフ地震情報を使用しない」仕組みについて、その妥当性や正当性に関する理解も十分共有されていない可能性が浮かび上がってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オンラインでの調査研究やワークショップ等の開催の方法を確立できたことで、おおむね順調に進展している。これまで得られた研究結果も査読付論文として学術誌に掲載され、成果を発信できている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きオンラインを用いた調査研究を進めると共に、コロナ禍の状況をみて対面型のワークショップ等の実施も検討する。また、これまで得られた結果の書籍化も計画する。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍に対応するため、研究集会等は全てオンラインで実施したため。次年度は、コロナ禍の状況をみながら対面型のワークショップ等を企画し、そのための経費に充てる。
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Research Products
(3 results)