2020 Fiscal Year Research-status Report
水害時の避難・復旧支援のための洪水氾濫由来物質の挙動解明とフィージブルな制御
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19K04968
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐藤 裕和 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (90609364)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 氾濫土砂の制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に得られた知見から、氾濫物質のうち、決壊に伴う堤体土砂の氾濫域での拡散抑制方法について1/100スケールの水理模型実験で検討した。ここでは、本研究の課題である「フィージブルな制御」の方法として、河川周辺の住民が水防活動で実行できる工法や技術を前提とした。具体的には、堤内地側の堤防裏法尻付近に杭や板を設置し、堤体の決壊土砂を堤防付近にとどめようとするものである。杭は実験スケールで直径0.75mm、高さ1cm、設置間隔を1.5cmと0.5cmとした。板は、高さ1cmで連続したものを先の杭を柱として設置した。各ケース5実験の平均堤体残土量(氾濫土砂量)は、対策なしの場合で21.0(79.0)%、間隔1.5cmの杭で26.7(73.3)%、間隔0.5cmの杭で29.8(70.2)%、板で22.5(77.5)%となり、何らかの工夫を施した方が堤体の破壊を緩和し、土砂の氾濫を抑制することが示された。他方、総氾濫流量は順に1.20m3、1.28m3、1.25m3、1.35m3となり、堤体残土量や氾濫土砂量と氾濫流量との相関は見られなかった。メカニズムについては、数値モデルの構築なども含め、現在検証を試みている。本実験での氾濫土砂量は堤体残土量のみに規定されるが、現実のように洪水が土砂を含んでいれば、間隔1.5cmの杭と板の場合、SS濃度が大きくなると堤体由来の氾濫土砂量の抑制効果が喪失される可能性も生じる。氾濫域での土砂堆積高の空間分布を見ると、杭や板を設置することで氾濫土砂を堤体付近に厚く堆積させており、板ではその傾向がより強くなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延に伴い、予定していた現地調査を全て次年度以降に延期ししたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査と水理模型実験の不足分を補足し、数値モデルを構築するともに、得られた成果を公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、現地調査が次年度に延期されれため。
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