2023 Fiscal Year Annual Research Report
水害時の避難・復旧支援のための洪水氾濫由来物質の挙動解明とフィージブルな制御
Project/Area Number |
19K04968
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐藤 裕和 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (90609364)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 洪水氾濫 / 水害 / 氾濫流木 / 氾濫土砂 / 氾濫土砂の制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、前年度までに取得した洪水氾濫に由来する流木および土砂の氾濫に関する水理模型実験結果をより精密に再度分析すべく、関連する実験データから得られた知見との定性的な整合性や類似性、相違性を確認した。最終年度を除く研究機関期間全体を通じては、いくつかの実河川における水害防備林内や水害後の洪水氾濫物質の状況、また地形・地物の状況を調査した。この結果を参考にしながら水理模型実験のスケールや水理条件などを決め、洪水氾濫に伴う堤内地での流木や土砂の挙動を把握した。流木や土砂の氾濫量は河道側の橋脚などの横断構造物にも左右されることを確認し、例えば橋脚の存在により洪水位の上昇が早くなり越流量が増加するとともに、流木の流下が欄干へ捕捉されることでこの作用が増強された。また、破堤規模の拡大とともに堤体由来の土砂氾濫量が増加した。氾濫域での堆積土砂分布は水理条件によらず破堤口の中央より上流側で多く堆積した。他方、破堤に伴う堤体土砂の氾濫域での拡散抑制法について、河川周辺の住民が水防活動で実行できる工法や技術を念頭に置いて検討を行った。ここでは、堤内地側の堤防裏法尻付近に杭や板を設置し、堤体の決壊土砂を堤防付近にとどめることを狙った。無対策の場合と比較した堤体由来の氾濫土砂量は、杭については設置間隔の広狭により70-73%程度、板については78%程度まで抑制することが示された。なお、総氾濫流量と総氾濫土砂量との間に相関性は見られなかった。現実の洪水は流水中にも土砂を多量に含んでおり、この成分は基本的には総氾濫流量に規定されて堤内地に流入することとなるが、SS濃度によっては板の設置によっては総氾濫土砂量が無対策の場合を上回る可能性が示唆された。板の設置により堤体由来の氾濫土砂は堤体付近に堆積させる一方、総氾濫流量は堤体の残存量だけでなく破堤形状によるものと考えられた。
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