2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of biological and physical model for improvement of tsunami mitigation function of coastal forest and evaluation of forest management method
Project/Area Number |
19K04976
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
鳥田 宏行 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 部長 (50414264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 規夫 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80323377)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 津波抵抗性 / 幹折れ / 根返り / 被害形態 / 海岸防災林 |
Outline of Annual Research Achievements |
海岸林が津波の流速および遡上距離を低下させ,さらに漂流物を捕捉するなどの防潮機能を発揮するには,海岸林そのものが津波に対して抵抗性が高いことが必須である。そこで今回は,樹形が海岸防災林の津波抵抗性に与える影響を評価した。その結果,樹冠形状を長方形とした場合と,三角形とした場合では,浸水深が枝下高付近に達した場合に違いが見られた。三角形状の樹冠は,枝下高付近の浸水深に対して,立木の抵抗性が長方形の樹冠よりも低くなる傾向がある。また,津波が林帯を通過した際に,立木にどのような被害をもたらすかを検討した結果からは,無間伐クロマツ林分の被害形態(根返り,幹折れ)が,津波の高さと林分の成長段階によって変化する事が示された。津波高が5mでは,林分平均上層高4m(早期の成長段階)の被害形態は幹折れしやすく,成長段階が進み林分平均上層高が5m以上になると被害を受けにくくなることが示された。津波高10mでは,林分平均上層高10m以下においては根返り,12mから18mでは幹折れしやすく,それ以上の林分平均上層高では被害を受けにくいことが示された。幹折れした立木は,その折損した部位から上部は,津波の際に流されて漂流物となり,建造物や人体に大きな被害を与えて二次被害を引き起こす。一方,根返りした立木は,その場所に留まり流れに対する抵抗体となって,流速の低下に寄与する。森林施業により,ダメージコントロールの見地から幹折れをどの程度減少させられるのか,更に検討を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに推進する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で,調査および検討打ち合わせを最小限にとどめたことと,学術会議における研究発表が次々と中止となったため,次年度使用額が生じた。次年度は,感染拡大防止に十分注意を払いながら,繰り越し分を調査研究に繰り込んで,研究の充実を図る。
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