2020 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイムハザードマップに向けた土石流の発生雨量・発生場所の予測
Project/Area Number |
19K04977
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
若月 強 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (80510784)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 土石流 / 斜面変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
花崗岩類を基盤岩とする山地における、降雨による土石流に対して、複数災害の土砂移動分布図を用い、山地小流域を単位として、雨量・地形量・気候等と土石流到達の有無との関係を統計的手法により明らかにすることを研究目的とする。研究地域は、北海道、東北、関東、中部、中国、四国、九州の各地方である。 今年度は不足しているデータの整備とともに、広島県の複数災害について解析を実施した。データの整備については、(1-1)土砂移動分布図の作成、(1-2)植生図の収集、(1-3)流域ポリゴン作成、(1-4)物性計測をそれぞれ進めた。(1-1)土砂移動分布図の作成については、令和2年7月豪雨による熊本県西部と岐阜県北部の斜面変動範囲図を作成し、防災科学技術研究所のwebサイトで公開した。(1-2)植生図については、全国から収集したGIS及び森林簿データの整理を進め、多様なフォーマットやGISデータと森林簿の紐付けなどの課題解決を一つ一つ試みている。(1-3)流域ポリゴンについては、未整備部分の1つである宮城県丸森地区について作成を実施・完了した。(1-4)物性計測については、熊本県西部の現地調査を行ない採取した土層試料の粒径や透水性等の分析を実施した。宮城県丸森地区については、昨年度の作業に加えて鉱物同定などを進め、論文にまとめた。 広島県の解析については、同じ地域に発生した降雨の特徴が異なる3災害(1999年,2014年,2018年)について、多数の流域(計約13,800流域)を比較することで、実用的な雨量指標と閾値を決定することを試み、成果を学会発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、花崗岩地域が広範囲に分布し災害が多発する広島県について、複数災害を比較することで、ある程度信頼性の高い地形と雨量に関する土石流到達閾値を設定することができたことが、重要な成果であると考えている。 データ整備に関しても、2020年に発生した熊本県・岐阜県の斜面変動範囲図を作成・web公開できたことは、災害対応・復興のため多少なりとも寄与できたと考えられる。その他、植生図・流域ポリゴン・物性計測の各データについても概ね順調に整備が進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析に関しては、花崗岩地域の災害が頻発する広島県について、多量のデータを元に土石流到達閾値を決めることができたので、この方法や雨量指標をベースにして、全国(北海道・東北・中部・九州)の花崗岩地域との比較解析を実施する。 データ整備に関しては、2018年西日本豪雨など土砂移動分布図作成を進める。植生図の整理、流域作成、物性計測なども引き続き実施する。
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