2020 Fiscal Year Research-status Report
The microscopic origin of phase stability and role of solute atoms in metal alloys having partial dislocation; A first-principles study
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19K04988
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
圓谷 貴夫 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (00619869)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / マルテンサイト変態 / 電子状態 / 相安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はFe-Mn-Si合金が示すγオーステナイトとεマルテンサイト間の可逆的なマルテンサイト変態において発見された長周期積層構造(LPSO: Long-Period Stacking Order)構造相の安定性とその起源を明らかにすることを目的に研究を進めた。γ -> ε変態では, γ相(fcc構造)の{111}最密面の原子積層はABCABC…であり, 2層おきに積層欠陥(ショックレー部分転位)が導入されることでε相(hcp構造, ABAB積層)が形成される。この合金において繰り返し引張圧縮変形後に2H(hcp)構造であるε相の3倍周期の電子線回折パターンを示すことから, 我々はLPSO構造に類似した相である可能性が高いと考えている. 本研究では6H1と6H2, 4H (dhcp), 10Hをもつ純鉄の構造モデルを構築し, 第一原理計算により相安定性を調べた. 今回、6H1および6H2構造における安定な反強磁性構造を網羅的(ハイスループット)な探索を実施した。6H構造が取り得る反強磁性秩序パターンは2^6=64通りで、上向きスピンと下向きスピンを入れ替えたパターンは等価なので1つの6H構造につき32パターンを計算した。その結果、6H1構造には2つ、6H2には1つ, hcpまたはfcc構造とエネルギー的に近い反強磁性パターンを発見することができた。その中でも, 反強磁性状態をもつ6H2構造が hcp構造にエネルギー的により近いことがわかった. このことからε’相は, 6H2の積層構造を持つ可能性が高いと考えられる. また, 相安定性は, hcpおよびLPSO相が示すフェルミ準位を境にした状態密度の谷の深さと密接に関係していることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の1つである高マンガン鋼が示す長周期積層(LPSO) 構造に関して、積層欠陥を有する純鉄のモデル構造を構築し、相安定性の起源を電子論的な立場から明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、複数元素の配置の秩序とスピンの秩序パターンはより複雑になるため、計算すべき構造とスピン状態を効率的にスクリーニングする手法の構築を考えていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス流行のため、旅費を使用することができなかったため
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