2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K04990
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 進補 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10437345)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 液体金属 / 自己拡散 / 相互拡散 / 不純物拡散 / 原子量 / 後退散乱 / MDシミュレーション / 蛍光X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
液体金属の拡散を支配する因子の影響を定量的に明らかにし、拡散係数予測式を構築することを目的とし,拡散係数測定実験,MDシミュレーションを行い,以下の結果・知見を得た. (1)液体Sn中における不純物拡散係数の予測確度向上:不純物拡散係数Disを原子直径比と熱力学的因子の積(σs/σi)φis(i: 不純物,s:溶媒),と溶媒の自己拡散係数Dsの積として算出するこれまでの予測式を高精度化した.Sn中のAlおよびAuの不純物拡散係数をシアーセル法により測定し,昨年度測定したCuの不純物拡散係数も含め,整理した.おおむね(σs/σi)φis <=1 の場合には,(σs/σi)φisの増加とともにDisが増加した.上記の式に原子量比(Ms/Mi)^0.119の係数をかけて補正することにより高精度に予測できる.一方,(σs/σi)φis>1 の場合上記とは異なる傾向で,DisはDsと同等とみなせる値となった.これを後退散乱効果と解釈すれば,この範囲においてDsを予測値として用いることができる. (2) 液体Alを用いた測定方法の検討:グラファイト製装置との反応により試料損失が起こる液体Al中のSnの不純物拡散係数をシアーセル法により測定した.Snの初期濃度が低い試料ほど,固着による試料損失が少なく,最も試料損失が少ない0.4 at%の実験では,拡散係数は5.42×10^-9 m^2/sとなった. (3) 蛍光X線分析による液体金属の拡散係数測定値:X線管先端への金属薄膜の設置によるバックグラウンドの低減を通じて、本方法の測定精度を向上させた. (4) MDシミュレーション:MEAMポテンシャルの導入により液体Sn特有に見られるショルダーを再現した.本方法を用いた局所構造の時系列解析により,Snの原子が拡散する際に,ショルダー部に存在する原子により進行を阻害されると考察した.
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