2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K04993
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
都留 智仁 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (80455295)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 固溶強化 / 転位運動 / 熱活性化過程 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで開発した転位芯構造の原子シミュレーションのため、転位双極子の拘束条件下で弾性場をフーリエ空間上で解くことにより、周期条件を満たす原子モデル構築のスキームを応用し、第一原理計算を用いて、応力下の転位芯構造や運動のエネルギー障壁などの力学応答を決定する重要な特性を評価した。 モデル合金としてタングステン合金を対象として、第一原理計算に基づき転位の運動を記述する力学モデルを開発した。第一原理計算の枠組みで転位の計算を行うために、転位構造のモデルは前述のような線形弾性論を用いた変位場を与えた周期境界中の四重極子配置を持つらせん転位を導入する。このモデルに対して、第一原理計算を用いて任意の位置のエネルギーを計算した。Peierlsポテンシャルは理想的に直線の転位が運動する際のエネルギーであるが、実際のBCC金属の転位は示すキンク機構によって運動する。キンク機構を直接第一原理計算から解析することは困難であるため、線張力モデルを用いて転位運動を記述した。第一原理計算から得られたPeierlsポテンシャルと線張力の係数を用いて、キンク機構による転位運動を再現した。Nudged elastic band (NEB)法を線張力モデルの自由度に対応させた最適化手法を用いて、直線転位が一周期分移動する間の最小エネルギー経路を転位のエネルギー汎関数を用いて最適化する方法を構築した。このような方法で、転位配置に従ってエネルギーを記述することで、キンク機構における活性化エネルギーを評価することができる。なお、キンク形成に必要なエネルギーは負荷応力に依存して線形的に変化するようモデルの定式化をすることで、応力の依存性を表現できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第一原理計算を用いて転位のPeierlsポテンシャルを直接計算することが可能になったことに加えて、実際の転位運動に重要なキンクの熱活性化過程を記述する枠組みと、遷移状態理論を組み合わせた計算科学的方法の開発に成功した。これによって、第一原理計算の精度に基づきキンク過程の活性化エネルギーを非経験的に評価することが可能になった。以上のことから、当初の計画以上に研究を遂行できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したモデルは、転位の一次元運動を仮定したものであり、BCC金属の中でも、Feなどには有効に適用できる一方、すべりが完全な(110)面で生じない非Schmid的すべり挙動を示すNbなどの合金では正しく評価することができないという問題がある。そこで、転位運動の熱活性化過程を直接解析するとともに、2次元運動を許容した解析手法を検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、令和2年度に予定していた出張等が取りやめになったことにより旅費の支出が当初計画に比べて少なかったこと等から次年度使用額が生じた。次年度使用額は、令和3年度分の経費と合わせて、計算機用のストレージ購入に係る費用等として使用する。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] The possible transition mechanism for the meta-stable phase in the 7xxx aluminium2020
Author(s)
A. Bendo, K. Matsuda, K. Nishimura, N. Nunomura, T. Tsuchiya, Seungwon Lee, Calin D. Marioara, Tomohito Tsuru, Masatake Yamaguchi, Kazuyuki Shimizu, Hiroyuki Toda
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Journal Title
Materials Science and Technology
Volume: 36
Pages: 1621-1627
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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