2019 Fiscal Year Research-status Report
高性能フェライト磁石のサイト選択的コバルト置換法の確立
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19K05002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和氣 剛 京都大学, 工学研究科, 助教 (50463906)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | M型フェライト / フェライト磁石 / 元素置換 / 磁気異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高性能フェライト磁石母材La-Co置換M型Aフェライト(A=Sr, Ba, Pb)において、効率的なCoの利用のためサイト選択的なCo置換法を開拓することを目指している。本年度は、新たにサイト選択性を制御する実験的手法の開発、またすでに見出したサイト選択性制御法についてエネルギー的な考察を加えるための計算機科学的な環境整備を行った。 実験的新手法としては、La-Co置換M型SrMにさらに別の元素を加えてCoサイト選択性の変化を期待するもので、La-Coと同時に、Al, Cr, Mnをそれぞれ少量置換したM型Srフェライト単結晶を作製しその磁気異方性を評価した。単結晶合成の結果、Al, Cr, MnそれぞれをLa-Coと同時に置換した単結晶試料の合成に成功した。それらの磁気異方性を評価したところ、Co量が同等なLa-Coのみ置換した試料に比べ、Alでは殆ど変化しない一方で、Crについては磁気異方性が著しく低下し、Mnにおいては向上することが明らかとなった。Mnのみを置換した試料においては磁気異方性に変化は現れず、La-Coと同時に置換したときのみに効果が現れることからCoに対し間接的に影響つまり、サイト選択性に影響を及ぼしているものと考えられる。 また、これまでにAサイトサイズがCo置換サイトと相関すること実験的に解明しており、その検証としてエネルギー的な考察が必要なためDFT計算を行える環境を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つに Co2+選択性を制御し磁気異方性を向上させる適切な手法を開発ことを挙げており、本年度見出したMn追加置換効果は、この目的に合致している可能性がある。初年度にめざましい効果を上げる手法を見出せたことは、期待以上の進捗である。一方で、その原因の解明には今後測定環境を開発していく必要があり、そちらについては楽観できない部分もあるので全体としては概ね順調であるという感触を持っている。
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Strategy for Future Research Activity |
La-Co置換SrMフェライトとMnをさらに加えた試料において、Coのサイト占有状況を微視的に調べるためNMR測定を行う。また、すでにサイト選択性を見出しているAサイト置換試料について、Co置換サイトと結晶学的なパラメーターの相関を解明するためにDFT計算によりCo置換サイト毎のエネルギーを評価し、検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定として計上していた物品が、金額不足で科研費単独で購入できず、別予算にて購入したため、見た目としては余った形になってしまった。次年度には、当初計画を遂行すべく不足している周辺環境を整えることに費用を利用する。
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